甘露のひととき

梅ノ木桜良

その一

 四時間目の終わりを知らせる鐘が鳴る。


 授業が終わり、先生も生徒たちもどこかホッとしたような雰囲気に包まれる。


 ゆったりと黒板を消し、荷物をまとめる先生。


 財布を握りしめてダッシュで購買に向かう野球部男子たち。


 さっさと教科書を片付けてお弁当を広げるメガネをかけた男子生徒。


 隣の席の友だちと話しながらトイレに行く女子生徒たち。


 とりあえずスマホをいじっている女子生徒。


 昼休みに入った学校では先生も生徒も各々が授業から開放され、自由な動きをしている。


 私はいつも中庭にあるベンチで友だちと一緒にお弁当を食べている。


 今日も晴れているので、私はお弁当と水筒を手にして立ち上がった。


雛望ひなのー、中庭行こー」

「うんー行くー」


 いつも一緒にお弁当を食べている京子が近寄ってきた。


 肩を並べて教室を出て、二つとなりのクラスに顔を出す。


 いつも昼休みを一緒に過ごすもう一人の友人、歌純かすみがそのクラスにいるのだ。


「歌純ー」

「はーい、ちょっと待ってー」


 歌純がノートを閉じて立ち上がり、お弁当箱を抱えて私たちのところに歩み寄ってくる。


「それじゃ行こっか」


 三人で話しながら中庭に向かう。




 いつも私たちが使っているベンチは今日も空いていた。


 お昼の時間帯はちょうど近くの桜の木の影に入るために寒いので、生徒たちからはあまり人気がないのだ。


 それを利用して私たちはいつもこのベンチをお昼の定位置にしている。


 三人で横並びに座り、膝の上でお弁当箱を広げる。


「今日は雛望はどんなメニュー?」

「今日はね、卵焼きと、ほうれん草のおひたしと、昨日の夜ご飯の残りの焼き鮭と、野菜炒めでーす」

「今日も豪華だねぇー。自分でこの美味しそうな弁当用意してるとか信じられんわ」


 料理が趣味の私は、毎日お弁当を自分で作っている。中学のときは母が作ってくれていたのだが、家で料理するようになってからはお弁当も自分で用意するようになった。


「そう?お褒めに預かり光栄だね」


 箸を手に取り、卵焼きを一口食べる。


 うん、柔らかくて美味しい、私好みの卵焼きになっている。


 隣の二人もそれぞれのお弁当を食べ始めた。


「あ、歌純は今日サンドイッチなんだ。いいじゃん」

「ほんとだー、美味しそう」

「これねー、昨日ママにリクエストしたんだよね」

「へー、サンドイッチの気分だったの?」

「うん。なんとなくねー」


 二人のお弁当も美味しそうだ。彩りも綺麗で、お弁当を作っている人の努力が感じられる。


 実際にお弁当を作ってみると、彩りよく作るのがどれだけ難しいか、お弁当を作ってくれる人と冷凍食品というものがどれだけ偉大かということがよく分かる。


 自分でお弁当を作り始めた当初は毎日おかずが茶色い品だけだった。野菜を入れ、栄養のバランスを調節したくても、しっかり火を通していないと腐る可能性があるので迂闊にいれることはできない。炒めたりして入れようと思ってもわざわざお弁当に入れるためだけにちょっとだけ料理するのも効率が悪い。結局は冷凍食品の揚げ物やハンバーグなどを詰め込んで終えてしまっていた。


 そうして初めて、私は母の苦労と努力を身を以て理解した。そして、前日の夜ご飯のおかずの残りが入っているのをなんとなく嫌だと思っていた自分を恥じた。


 それからは母に対する感謝の念をきちんと抱くようになった。そして、親に対する反抗期も終わった。


 そんな昔の思い出を振り返りながらお弁当を食べていたから、京子に話しかけられていることにすぐには気づかなかった。


「……の、ひーなのー、おーい、どこ行ってんだー」

「うわっ!ご、ごめん、ちょっと考え事してた」

「まったくもー。『うわっ!』じゃないよ。五回くらい呼びかけても返事しないから何事かと思ったよ」

「雛望ってたまにそういうのあるよね。なんか考え込んでる?みたいな」


 言われてみればそうかもしれない。場所や時間に関係なく、自分の世界に入ってしまうことがある。


「てか、話しかけたのはそれじゃないんだよ。ほら、あっち」


 そう言って京子が中庭の反対側の端を指さした。そこには中庭を通って旧校舎の方へ向かう一つの人影があった。


「あれさ、柳橋やなはしくんじゃない?」


 ぐっと目を凝らして見てみる。遠く、木の影に入っているので見づらいので断定はできないが確かに言われてみれば柳橋くんに見えなくもない。


「そう……かもしれない」

「てかそうじゃない?あの髪色の男子他にいる?」


 まあ、この校内には彼を除いて二、三人くらいしかいないかもしれない。


「うーん、ほぼいないかも?」

「もっと奇抜な人は一部いるけどねー」


 それは京子本人だろう。校則で規制されていないとはいえ、ワインレッドのボブでピアスを左右の耳に計四ヶ所開けているというかなり風変わりな外見であるのにも関わらず、風紀委員長をやっている人物などこの高校には一人しかいない。私と歌純は同時に京子に視線を向けた。


「まあ、私もその『一部』なんだけど」


 自覚はあったみたいだ。


「いや、そこじゃなくて。せっかくだし雛望、柳橋くんに話しかけてきたら?」

「え、な、なんで」


 どういうことだろうか。突然の提案に戸惑ってしまう。


「なんでって。あ、もしかして、私たちが気づいていないとでも思ってる?」


 何にだろうか。まさか。


「ほんとにねー。雛望って結構わかりやすいのにねー」


 ねー、と二人は頷きあう。


 いやいやいやいや、ちょっと待ってほしい。嘘だと言ってほしい。恥ずかしくて頬が熱い。


「え、ほんとに?もうバレてるの?」

「うん。結構わかりやすい」

「好きなんでしょ、柳橋くんのこと。それも去年から」


 うーわ、まじか。ちゃんとバレてるではないか。


「え、わかってたの?」

「それはもう。私たちもう一年半くらいの付き合いになるわけだし?」

「誰にも言ってないし、他の子たちは誰も気づいてないみたいだったから二人だけで話してたんだけどね?初々しくって可愛くて、見てるこっちがキュンキュンしちゃってさぁ。楽しませてもらってますよ」


 言われれば言われるほどに恥ずかしくなってくる。そんなにわかりやすい感じだっただろうか。一応これでも隠していたつもりだったのだが。


「うう……恥ずかし……」

「ほんとにうぶだねぇー。もしかして初恋だったりする?」

「……うん。初めて、かな」


 私が答えると同時に隣の二人は黄色い声をあげる。


「うわー、まじで?!え、ちょっと、ほんとに?」

「初恋とか久しぶりに聞いたわ」

「もう記憶の彼方に消えてるよねー」

「とっくの昔にね。いつの頃の話まで遡ればいいのやら」


 初恋経験済みの二人に挟まれ、私は赤くなって小さくなるしかない。初恋って、みんなそんなに早いものなのだろうか。


「とりあえずさ、柳橋くんに話しかけてきなよ」

「え、どうやって。てかなんで」


 緊張しすぎて無理だろう。もうすでに手が震えている。


「だって、せっかくの二人きりになれるチャンスだよ?これは逃す手はないでしょ」

「話しかけ方なんて何でもいいんだって。大体の男子は『女子に話しかけられた』とか『女子と二人きり』っていうシチュエーションだけで興奮するもんなんだから」


 それはそれでなんだか怖いのだが。


「いや別に全員がそうとは限らないし、柳橋くんがそういう人だとは私は思わないけど。話しかけ方なんて何でもいいってのは事実だよ。正直に『たまたま一人で旧校舎に向かう柳橋くんを見かけて気になった』って言うんでも、他の理由をつけるんでもなんでもいいんだって」

「えぇ……どうしよ」

「まぁ、私は正直なほうがいいと思うけどねー。柳橋くんってそういう人の方が好みだよ、たぶん」


 迷っているのは話しかける内容ではなく、そもそも話しかけるかどうかなのだが……。


「うーん……話しかけてみる……?」


 二人の顔を交互に見る。そして二人とも大きく頷いた。


「……じゃあ……うーん……行く……」


 とてつもなく緊張する。先程までよりも更に顔が赤くなっているであろうことが見なくてもわかる。だんだんと身体も火照ってきた。


「よし、行って来い!大丈夫、きっとうまくいくから」

「うん……お願いだからここで待っててね?一人にしないでよ?」

「わーってるって。大丈夫大丈夫。恋バナでもして待ってますよー」

「ほんとにお願いだから、ね?」


 とりあえず、行ってみよう。話しかけるかどうかはそれからでも遅くはない。


 柳橋くんらしき人影が通ったところを同じように歩いてみよう。たぶんその先にいるはずだ。




 恋する乙女を見送った京子と歌純はベンチの背もたれに寄り掛かり、同時に息を吐いた。


「……京子はさ、脈ありだと思う?」

「脈ありでしょ。てか脈しかない、みたいな感じじゃない?」

「だよねぇー」


 歌純はお弁当箱の中に残っている最後のサンドイッチを手に取り、一口食べる。


 ゆっくりと咀嚼して、お茶とともに飲み下す。


「初恋で両思いとか羨ましいわー」

「両思いっていうのがそもそも珍しいんじゃない?私両思いになったことないんだけど」

「うちは一回だけあるかなー。ま、結局付き合って一ヶ月くらいで冷められちゃって別れたんだけどね」

「えー、なにそれ。なんかもったいない」

「もったいないも何もないよ。思っていたのと違う人だった、それだけ。よくある話でしょ?」


 歌純の言葉に、京子はさほど納得がいかない。


「うーん、まぁ、ねぇ。どういう感じだったわけ?」

「お、それ聞いちゃう?」

「うん、聞いちゃう」

「そっかー、聞いちゃうかー」


 口ではそういうが、歌純は聞かれてどことなく嬉しそうな顔をしているように京子には見えた。もしかしたら、誰かに話したがっていたのかもしれない。京子にはそう感じた。


「聞かせてよ」

「そうだねぇ、どこから話したもんかなー」


 恋バナに花を咲かせる二人の間を爽やかな秋風が吹き抜けていく。




 柳橋くんらしき人影の跡を追うように歩いていくと、その人影が見えた。気づかれないようについていってみると旧校舎裏を通り、裏口の方に出たところで姿を見失ってしまった。


 旧校舎の裏口の扉をが少し開いている。きっと柳橋くんはここから中に入っていったのだろう。


 どうしよう。本当に行っていいのだろうか。


 背中から秋の少し冷たい風が吹きつける。早く中に入ってしまえとそそのかされているかのようだ。


 ……よし。


 扉を開けて中を見てみる。廊下には人影はない。


 できる限り音を立てないように慎重に足を踏み出す。使われなくなって久しいという旧校舎の床はところどころ裂けていたり浮いていたりする部分もあり、長らく手入れがされていないことを物語っている。


 見た感じでは歩くたびにギシギシ音がしそうなものだが、何歩歩いてもそのような音は立たない。


 これなら普通に歩いても問題なさそうだ。人探しに集中できる。


 とりあえず一階の教室を手前から一部屋ずつ覗いていく。しかし、どの教室にも人影はおろか、最近使われた形跡はなかった。椅子にも机にも棚にも、教室の中にあるもの全てに厚くほこりが降り積もり白くなっている。それぞれの教室に掛けられている時計もどれも動かなくなっており、まるで時間が止まってしまったかのようだ。


 一階には誰もいなかった。ということは、二階の教室にいるのだろうか。


 二階につながる階段は板が抜けていたり手すりが折れていたりしていて見ているだけで登るのが不安になるような有り様だった。しかし、よく目を凝らしてみると薄っすらと足跡のようなものが残っているのが見える。


 その跡を辿っていけば二階までいけるかもしれない。とりあえず一段目に足を乗せてみる。


 ギシッ…………。


 ……思っていた以上に大きな音を立ててしまった。


 これはまずい。バレてしまったかもしれない。


「……誰かいるのか?」


 上から声が聞こえた。これはたぶん柳橋くんの声だ。


 気まずさと申し訳なさとでどうすればいいかわからず、何も言えないし、一歩も動けない。


 そのまま固まっていると、二階のところからひょっこりと顔が出てきた。


 声で想像していたとおり、柳橋くんが二階にいた。


「あ、や、柳橋くん……えっと、その、これは」

「……なんだ、爪川か。どうした?」


 なんだ、というのはどういうことなんだろうか。物音の正体が私だとわかってホッとしているのか、それとも実は待っている人がいて、その人とは違ったことの落胆なのか。


「その、えっと、さっきさ、旧校舎に向かって中庭歩いてたじゃん?たまたま見かけて気になってついて来ちゃった……」


 何か言おうと思ったら、結局事実を正直に伝えることしかできなかった。


「そうか。確かに爪川はいつも中庭で昼ご飯食ってるもんな。見ていたのか」


 驚いた。私が中庭でご飯食べてるって知ってるなんて。


「私が中庭でご飯食べてるの知ってるんだ」

「あ、ああ。まあ、な」


 柳橋くんは曖昧な返事をしつつそっぽを向く。あれ?ちょっと頬が赤い……?


「……上、来るか」

「え?」


 声が小さくてあまりよく聞こえなかった。やっぱり照れているのだろうか。


「上に来るか」

「……行っていいの?」

「……ああ。爪川なら秘密にしてくれるだろうからな」


 なにか秘密にしたいことをしているのだろうか。


「それはもちろん。大丈夫。言わないって約束する」


 私の言葉に頷いた柳橋くんはそのままいなくなってしまった。上がっていいということだったので、二階まで行ってみよう。もう足音を心配する必要はない。


 一歩踏み出すたびにギシギシという階段を二階まで上がると、一階と同じように教室が並んでいた。そして、そのうちの一ヶ所だけ扉が開いているところがある。柳橋くんはきっとそこにいるのだろう。


 そこを覗いてみると、柳橋くんがこちらに背を向けて座っていた。


「いつもここにいるの?」

「大抵はそうだな。昼休みはここにいることが多い。放課後もたまに来ている」


 柳橋くんはこちらに背を向けたまま答えた。


「そうなんだ。ここで何してるの?」

「いつも絵を描いている」

「絵を描くの好きなの?」

「そうだな。趣味だ」


 柳橋くんに絵を描く趣味があったなんて意外だ。


「意外か?」

「うん、ちょっとね。でも、すごくいいと思う」


 かっこいい趣味だと思う。案外柳橋くんに似合っている趣味かもしれない。


「今思ったんだが、なんで爪川はまだそこにいるんだ?」

「え?」


 柳橋くんがこちらを振り返って言う。言われてみればずっと教室の外から話している。


「もう少し近くによればいいんじゃないか」

「そ、そうだね。じゃあ、ちょっと失礼するね」


 教室に入り、柳橋くんの近くに寄る。それだけのことなのだが、鼓動が速くなる。好きな人と二人きりで、しかもこんなに近くにいると思うと緊張もするが、とても幸せな気分になる。きっと他人には言わないでいたのであろう秘密を教えてくれたことが嬉しかったし、受け入れてもらえたような、そんな気がした。


 こんなにいい時間が過ごせて、あそこで背中を押してくれた二人には感謝しかない。


「何を描いてるの?」

「気分によって変わる。ここから見える風景を描くこともあれば、この教室やここにあるもの、ふと思いついたものを描くこともある」

「いろいろ描いているんだね。すごいね」


 柳橋くんの手が一瞬止まる。


「ありがとう」


 声が少し硬い。そして、耳が先程までよりも赤みを帯びている。やはりちょっと照れている?


「その、描いた絵って見せてもらえたりする?」

「ああ、問題ない。だが少しだけ待ってくれ」


 何かを描いているようなのでちょっと待つ。教室とは反対側の窓に近づき、そこから外を見てみる。


 そちら側は学校の敷地の外へ向いていた。フェンスの内側にフェンスに沿って植えられている桜の木々の向こうに住宅街がある。お昼時の住宅街は静かで、歩いている人の影はなかった。


「よし」


 柳橋くんの声がした。描き終わったのだろうか。


 柳橋くんの方を見ると、これまで何か描いていたのであろうスケッチブックのページを破り取った。そしてスケッチブックを近くの机に置くと、破ったページを持ってこちらにやってくる。


 柳橋くんが一歩こちらに近づいてくるたびに、胸が高鳴る。


 柳橋くんはこちらに歩いてきて私の目の前で立ち止まった。


 そして、手に持っていた紙を私の方に差し出す。


「……よかったらこれ、もらってくれないか」


 そこに描かれていたのは。


「……私?」

「ああ」


 それは柳橋くんが描いてくれた私の絵だった。窓枠にもたれ掛かり、外の景色を眺めているような様子が描かれている。


「……すごい。綺麗」

「……もらってくれるか?」

「うん!もちろん!こんなに綺麗に描いてくれて嬉しい!」


 そして、私のことを描いてくれたことが何よりも嬉しい。


「ありがとう!」

「こちらこそありがとう」


 その瞬間、昼休み終了十分前を知らせる鐘が鳴り響いた。


「そろそろ時間か。じゃあ、また。ここでのことは秘密な」


 そう言って柳橋くんがちょっとだけ口角を上げる。私は今日、というかこれまでで初めて柳橋くんが微笑むのを見た。


 その笑顔はあまりにも綺麗で、あまりにもかっこよくて、そして少し可愛さもあった。


 柳橋くんの笑顔を見た途端に私の心臓が跳ね上がった。身体が熱い。うまく頭が回らない。


「う、うん……」


 柳橋くんが教室の扉から出ていく。私はそれをただ見送ることしかできなかった。


 姿が見えなくなる。しばらくして、足音も床板が軋む音も聞こえなくなった。


 追いかけていけばよかったかもしれない。


 まぁ、いい。また教室に戻れば柳橋くんの顔が見れる。同じクラスだから、言葉はかわさなくても同じ空間で過ごしていられる。


 それだけで私は十分幸せだ。


 それに、一緒に戻ってしまったらここでのことがみんなに知られてしまうかもしれない。別々に戻ったほうが秘密は守れるだろう。


 これでよかったのだろう。


 そしてこの絵は大事に持って帰って飾っておこう。


「帰りに額縁買おっと」


 百円ショップで売っているだろうか。


 あ、そういえば。


「二人待たせてるんだった……!」


 まずい。すっかり忘れていた。まだ待っててくれているだろうか。休み時間はあと五分しかない。次の授業はなんだったか。移動教室じゃなければいいが。


 とりあえず急いで中庭に戻ろう。焦りと幸せな気分に背中を押されてかけ出す。


 この幸せな気持ちを抱いたままで日常に戻れることが嬉しい。


 旧校舎の窓から差し込む日の光が、先ほどまでよりも幾分か明るくなったような気がした。

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