第15話 昏睡状態から回復した女
美怜は治療室へと運ばれて行くと適切な治療を受けていた。
「解毒できた……これで目が覚めれば一安心だね……」
彰が治療室からスタッフルームのモニターに向かって言うと、賢一は頷いていた。すると、部屋に入って来たスタッフの一人が報告してきたのだ。
「五十嵐の死亡を確認しました」
「そうか……ご苦労」
彼はそう答えると、モニターに視線を移した。そこには美玲の姿が映っていたのである。彼女はベッドの上で横になっており意識を失っているようだ。
だがしかし、毒の影響でまだ昏倒している状態である事は間違いなかったのだった……。
「さて、彼女が目を覚ますまで待つとしよう……」
「そうだね……」
治療室のモニターに向かってそう呟くと彰も頷き返し、賢一はモニターに映し出された美玲の寝顔を静かに見つめていた……。
それから数時間後、彼女はゆっくりと瞼を開くと辺りを見渡していた。そして、自分が何処にいるのか把握すると溜息混じりで呟いたのだ……。
「はぁ……また他の人格に身体を乗っ取られた……」
そんな呟きが部屋に響いていたのだった……。
美玲が目覚めてから、丸一日が過ぎようとしていた。彼女は未だに治療を受けており、自室のベッドで横になっていたのだ……。
そんな時、扉をノックする音が聞こえてきたのである。そして、扉が開くとそこには彰の姿があったのだ。彼は心配そうな表情で彼女を見つめていたのだ……。
「もう大丈夫なのかい?」
彼が問い掛けると、彼女は静かに頷いていた。どうやら体調の方は問題無いらしい……だがしかし、精神的にはまだ不安定な状態であるようだ……。
「私は五十嵐という人を殺した……? 記憶が曖昧なんだけど、微かに殺したような記憶がある……」
美玲はそう呟くと、頭を抱え込んでしまったのだ。どうやら彼女は自分の行動に困惑しているようだ……。
「大丈夫? 無理しない方がいいよ……」
「私が殺した訳じゃないけど……人格を乗っ取られて人を殺すという体験が3回目だから、正直言って怖い……」
彼女は不安げな表情で言うと、溜息をついていたのである。すると、彼は優しく微笑み掛けると彼女の頭をそっと撫でてあげたのだ……。
「大丈夫だよ、君は何も悪くないんだから……」
「これからも戦わされて人を殺していかなければいけないの……?」
彼女は悲痛な表情で言うと、彰は静かに頷いていた。そして、彼は優しく語り掛けたのだ……。
「君は悪くないよ……悪いのは組織の連中だから、君は何も気にせず普通に過ごせばいいんだよ」
「……人の気も知らないで! 私がどれだけ悩んでるか知らない癖に!」
美玲はそう怒鳴り声を上げると、彼は驚いた表情をしていたのだ……。すると彼女はハッとして我に帰ると申し訳なさそうな表情で謝ってきたのである……。
「ごめん……ちょっと感情的になった……」
彼女はそう言うと俯いてしまったのであった……。そんな彼女を慰めるかのように彰は再び優しく頭を撫でてあげたのだ……。そして、暫くして彼女が落ち着くと彼は静かに語り掛けたのだった。
「君が今一番辛いのはわかってるけど、僕は君を見捨てたりしないから安心してね」
彼はそう言うと優しく微笑みかけたのだ。すると、彼女も自然と笑顔になっていたのである……。
「うん……」
彼女は小さく呟くと、そのまま眠りについてしまったようだ。どうやら精神的に疲れていたのだろう……。
彰は彼女を起こさないように静かに部屋から出て行ったのだった。
翌日、美玲は目を覚ますと自分の体調を確認するためにベッドから降りようとしたのだが、何故か立てないようだ……。
「あれ……? おかしいな……」
彼女は不思議に思い立ち上がろうとするが、ふら付いて立つ事ができなかったのである……。
その時、部屋のドアが開き彰が入ってきたのだ。彼は心配そうな表情で彼女を見つめていた……。どうやら様子を見に来たようだ。
そして、彼女が起き上がろうとしている事に気づくと慌てて駆け寄って来たのだった……。
「どうしたの?」
彼が問い掛けると、彼女はゆっくりと口を開いたのだ……。
「なんか足がふらついて立てない……」
美玲はそう答えると、彼は少し考え込んでいたのだ……。そして、何か思い出したかのように手を叩くと彼女に話し掛けたのである。
「あ……そうだ! 一昨日、君は毒針に刺されて昏睡状態になってたんだ」
「え? 毒に犯されてたの……?」
彼女は驚いた表情で彼を見つめると首を傾げたのだ……。すると彼は続けて説明し始めたのである。どうやら彼女の体内に僅かに毒が残っているらしく、それが原因のようだ……。
「それで、解毒剤を使って治療したんだけどまだ完治してないみたいなんだ……」
彼がそう言うと、彼女は納得したように頷いていた。どうやら彼の説明を理解したようだ……。
「そっか……じゃあ仕方ないね」
そう呟くと彼女は溜息をついていたのだ……。すると、彼は心配そうな表情で彼女に話し掛けたのである。
「大丈夫? 辛くないかい?」
「うん……大丈夫よ」
彼女は笑顔で答えたが、その笑顔には無理をしている様子が窺えたのだ……。
「辛い時は無理しないでね……」
彼はそう言うと、彼女を優しく抱きしめてあげたのだった。すると彼女は彼の胸に顔を埋めて泣き出してしまったのだ……。
「うっ……ひっく……ぐすん……」
美玲は泣き止むと、静かに顔を上げて彼を見つめていたのである……。そして、彼女は彼に微笑んでみせたのだ。
「もう大丈夫」
彼女が言うと彼は安心したような表情を浮かべていたのであった。そして、2人は暫くの間見つめ合っていたのだ……。
それから翌日、美玲の部屋に彰が訪ねて寛いでいたのだ……。
「体調はどう?」
彰が問い掛けると、彼女は少し考えて答えたのである……。
「まだ少し怠いけど、歩けるようになった……」
「そっか……良かったね!」
彼は嬉しそうに微笑んでいたのだ。すると彼女も嬉しそうな表情を浮かべていたのであった……。そんな彼女を見て彼も安心したような表情を浮かべていたのだ。そして、2人は笑い合っていたのだ。
そんな時、部屋の扉をノックする音が聞こえてきたのであった……。
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