第191話
2日ほどの休暇を楽しんだトキノリはヒューゲル侯爵アルバートの旗艦である戦艦に来ていた。
ここで集まった情報を元に会議が行われる予定だった。
トキノリは時間までアルバートの私室に通されていた。
「こんな狭い部屋ですまないな」
「いえ。お招きいただきありがとうございます」
「トキノリ卿とは一度、ゆっくりと話をしてみたかったんだ」
「私とですか?」
「活躍は色々聞いていたのでな」
「活躍ですか?」
「サルベン公爵家での活躍にはじまり大活躍じゃないか」
「お恥ずかしい限りです」
「そこは胸を張ってくれ。でなければ私達は肩身の狭い思いをすることになる」
「そういうものですか?」
「君は他の者にはできないことをしたのだ。称賛されこそ笑う者はいないさ」
「肝に命じます」
「正直にいえば、皇帝陛下のお気に入りでなければ私の派閥に入ってほしいくらいさ」
「そこまで評価されるとは思いもしませんでした」
「今後、何かあれば気軽に連絡してくれ。必ず力になると約束しよう」
「ありがとうございます」
「そろそろ時間だな。名残惜しいが行くとしよう」
トキノリはアルバートと共に会議室に移動する。
そこには今回の強硬偵察に参加した貴族が集まっていた。
「待たせたな。これより今回の強硬偵察の情報を共有する」
アルバートがそういうとホログラムが立ち上がりシールズ共和国の宙域図が現れる。
「シールズ共和国はほとんどの宙域から戦力を引き上げて戦力を集めている。狙いはわからないが大きな動きをする前準備と考えられる」
「その戦力を潰せばいいのでは?」
「確かに潰せればこの戦争に方はつくだろう。だが、我がエニュー帝国といえどシールズ共和国の宙域全てを支配するのは難しい」
現在支配している宙域だけでもエニュー帝国全体に大きな負担をかけているのだ。
これ以上、宙域を奪い取っても負担が増えるだけだろう。
仮にシールズ共和国の戦力を討伐してしまえば宇宙海賊などが跋扈する事態も考えられた。
「では、どうするのですか?」
「戦力を選抜しシールズ共和国の首都星を強襲する」
「首都星をですか?」
「支配階級を押さえることができればシールズ共和国の軍も投降するだろう」
「では、私にその役目をお与えください」
まだ、若いであろう貴族がそう申し出る。
「すまないが、もうその役目の者は決めている。全体の指揮は私の右腕であるガハルドに任せる。頼めるか?」
「精一杯やらせていただきます」
「ハラヤマ卿。申し訳ないがガハルドの補佐を頼みたい」
「私がですか?」
「ハラヤマ卿の持つ戦力はここにいる誰よりも強力だ。少数でことを運ぶ為にも是非、協力してほしい」
「わかりました。どこまで力になれるかはわかりませんが引き受けさせていただきます」
「他の者もそれぞれの役目を果たしてほしい」
アルバートのその宣言で会議は終了した。
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