第134話

雪風にも招かれざぬ客がやってきていた。

彼等は雪風に取りつきロックを解除しようと雪風のシステムにアクセスする。

雪風の防衛システムは即座にそれを関知して雪風に残ったマリーに知らせる。

「システムに侵入者?どうしよう・・・」

雪風の防衛システムは即座に自動迎撃システムを推奨してくる。

相手はプロだ。

自動迎撃システムを起動させても突破される可能性がある。

だが、何もしないよりはいいはずだ。

マリーは自動迎撃システムを起動させた。

雪風の動力炉は待機状態から戦闘可能な出力までいっきに稼働する。

雪風を設計、製造したのは変人であるミュートンだ。

防衛システムにもその変人の才が遺憾なく発揮されていた。

雪風の防衛システムはダミープログラムを即座に生成。

相手の手口を解析していく。

相手はうまくシステムに入り込んだと喜んでいたがそれもつかの間のことだった。

手口を解析した雪風の防衛システムはすぐに侵入者に対して逆襲を開始する。

それはあり余るパワーを使っての端末の乗っ取りだった。

必要なデータを全て抜き取り最後には端末が耐えきれず発火を起こす。

襲撃者達は失敗と悟ると端末を諦めて逃げていった。

「な、何とかなったのかな?」

雪風は何事もなかったように動力炉の出力を落として待機モードに戻った。



中枢部に侵入を果たしたジェームス達は慎重にだが、素早くトキノリの居そうな場所をチェックしていた。

「ここから先はセキュリティーがまた上がっているな」

「どうする?他の場所を探すか?」

「いや。俺の勘がここにいるって告げている」

「そうか。お前の勘は当たるからな。侵入するぞ」

プロテクトを解除して中に入り込む。

「ここは監獄か・・・?」

「そのようだな。星系軍の監獄以外にも監獄があるとはな」

通常、犯罪者は星系軍の保有する監獄に送られる。

それとは別に監獄を所持している領主はあまりいなかった。

「とにかくトキノリ様を探そう」

ジェームス達は1つ1つ牢を確認してトキノリを探す。

見張りのいないエリアにはトキノリの姿はなかった。

「っち。人がいるな。どうする?」

「ここまできて引き下がれるか。突破する」

殺すのはまずいため電気銃で見張りを排除する。

倒れた見張りから鍵を回収して奥へと入る。

ジェームス達は奥の区画が何に使われているのかすぐに察した。

「拷問部屋か・・・」

「無事だといいんだが・・・」

ジェームス達は嫌な予感を覚えつつトキノリを探すために調査を再開した。

それなりの修羅場を潜り抜けてきているジェームス達ではあるがこの区画は見ていて気分のよいものではなかった。

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