第42話
ユーラシアはクレーンゲームの前で足を止める。
「このイルカさん。可愛いです」
トキノリも覗き込んでみれば抱き枕サイズのイルカの人形が中に入っていた。
「やってみますか?」
「はい!絶対にお持ち帰りします」
そう意気込んでクレーンゲームに挑戦するユーラシアだが取れる気配がない。
「うぐぐ・・・。どうして取れないんですか・・・」
これだけ巨大なサイズだと取らせる気がないのだろう。
「う~ん・・・。代わりにやってみてもいいですか?」
トキノリは昔、クレーンゲームを荒らしまわった過去がある。
ブランクはあるが取れる自信があった。
「お願いします」
そう言ってユーラシアは操作パネルの位置を譲ってくれる。
いきなり取ろうとしても難しいためトキノリは少しずつイルカの人形を入り口に近づけていく。
お金はかかるがこれが確実な方法だ。
「後少しです。トキノリ様。頑張って」
ユーラシアの声援を背に受けて勝負を決めに行く。
イルカの人形は見事に景品の穴の中に落ちた。
トキノリはガッツポーズをして景品受け取り口からイルカの人形を取り出す。
「わぁ。トキノリ様。凄いです」
「どうぞ。お姫様」
そう言ってトキノリはユーラシアにイルカの人形を差し出す。
「むぅ・・・。お姫様扱いはやめてください。でも、イルカのお人形さんはありがたく頂きます」
そう言ってユーラシアはイルカの人形に抱きつき頬をすりすりする。
「柔らかくて気持ちいいです」
どうやら気に入ってもらえたようだ。
「せっかくですから他もチャレンジしてみますか?」
「そうですね・・・。こんな機会はもう訪れないかもしれないですし」
そこからはダンスゲームだったり最新のVRゲームだったりと2人で楽しく遊び通した。
「ふぅ・・・。世の中にはこんなに楽しい場所があったんですね」
「自分も久々に遊んだって感じですね」
「トキノリ様。最後にお願いがあるんですけど・・・」
「何ですか?」
「そこのプリクラ?って奴ですか。一緒に撮影しましょう」
「プリクラですか?わかりました」
トキノリはプリクラは使ったことがない。
だが、義務教育で通った学校で女子が楽しそうにプリクラの話で盛り上がっていたのを思い出した。
ユーラシアも他の女の子と変わらないらしい。
2人でプリクラの機械の中に入る。
色々設定ができるようで2人で試行錯誤しながら撮影する。
「設定できましたね。では、早速・・・」
そう言ってユーラシアは撮影開始のボタンを押す。
トキノリは変な顔にならないように気をつけつつ撮影に臨んだ。
撮影が終わり写真がプリントアウトされる。
「トキノリ様。ありがとうございました」
そう言ってユーラシアは写真を取り出して大事そうに抱えていた。
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