第40話
トキノリは悩んだ末、とにかくマルエ公爵領に近づきつつ運送ギルドの仕事をこなすことにした。
端末で何か良い依頼はないかと検索する。
するとマルエ公爵領に隣接するスイレン星系への仕事が見つかった。
積み荷は香辛料と紅茶に塩のようだ。
トキノリはすぐにキルシェの運送ギルドに連絡を取る。
「すみません。スイレン星系行きの仕事を受けたいのですが」
「スイレン星系への仕事ですね。確認します」
そう言って一度、通信が切れる。
すぐに折り返しで通信が入った。
「確認が取れました。3つほどありますがどれにしますか?」
「全て積めると思いますので全て引き受けます」
「わかりました。それではそちらに職員を派遣いたします」
「お手数をおかけしますがよろしくお願いします」
ドックでトキノリが待っているとすぐに運送ギルドの職員がやってきた。
「お待たせしました。積み荷を持ってきましたがどうしましょう?」
「船の方に積み込んでもらっていいですか?」
「わかりました」
トキノリは雪風のハッチを開けて運送ギルドの職員に積み荷を積み込んでもらう。
「積み込みが完了しました」
「ありがとうございます」
「それにしてもスイレン星系ですか。羨ましいですね」
「何かあるんですか?」
「あら?ご存じない?スイレン星系の惑星はリゾート惑星なんですよ。仕事のついでに地上に降りる方も多いですよ」
「そうなんですね。時間があれば降りてみようかな」
「お勧めですから是非」
そんなことを言いつつ運送ギルドの職員は去って行った。
トキノリがブリッジに戻るとユーラシアは変わらず読書を続けていた。
「次の行き先が決まりましたよ」
「そうなんですね。どこに行くんですか?」
「マルエ公爵領に隣接するスイレン星系です」
「スイレン星系ですか・・・。懐かしいですね」
「行ったことがあるんですか?」
「はい。叔父様の領地に遊びに行くときは必ず遊びに行ってました」
「そうなんですね。時間があれば惑星に降りてみようと思うんですけど」
「それでしたらお勧めの場所に連れていきますね」
どうやらユーラシアはかなり乗り気のようだ。
地上に降りないわけにはいかなそうだがそれもまたいいだろう。
考えてみれば地上に降りるのはかなり久しぶりだ。
降りなくても生活に困ることはないがそれでも地上に降りるのはわくわくする。
リゾート惑星とのことだしここいらでしっかりと休んで英気を養うのも悪くないだろう。
隣では上機嫌に鼻歌を歌うユーラシアの姿があった。
鼻歌ではあるがかなり上手い。
トキノリはユーラシアの鼻歌を聞きつつ雪風のシステムをチェックする。
システムはオールグリーン。
今日も雪風は絶好調だ。
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