異世界転生した俺は独裁者を葬り去る

グローリア

第1革命 死刑執行、そして異世界へ

〇月×日、一人の男の死刑が執行されようとしていた。


死刑囚の名前は、佐藤茂信。強盗殺人の罪による刑罰である。


「囚人番号904番佐藤茂信を強盗殺人の罪により、刑を執行とする」


法務大臣の発言が終わると茂信は目隠しをされ、両手には手錠をかけられ、首に縄を掛けられた。


「最期に何か言い残す事はあるか?」


刑務官の言葉に茂信は、


「この世界に、復讐する・・・!!!」


と、言い放った。


実は死刑囚佐藤茂信は、ある政治家によって濡れ衣を着せられたのだ。




一か月前・・・・、



〇月〇日、


PPPPPPPPP


「ふぁ~~~~・・・、もう朝か・・・」


目覚まし時計の音で起きた茂信は、会社へ行くために身支度をし始めた。顔を洗い、朝ごはんを食べ、歯を磨き、スーツに着替え、アパートを後にした。


「いい天気だな。良い事ありそうだな」


そう言いながら、通勤する茂信。しかしその言葉は、後に悲劇となる逆の言葉になろうとは、茂信は知らなかった。




会社到着後、茂信は会社がいつもと違う事に気づいた。なぜならば複数のパトカーが止まっってたからだ。明らかにただ事ではない。


「な、なにがあったんだ?」


不思議そうに会社に入ると、


「いたぞ!!容疑者だ!!」


一人の刑事が茂信を指したのだ。


「!!?」


茂信が呆気に捕らわれてると、


「確保‼取り押さえろ‼」


警察は一斉に茂信を捕らえた。


「な、なんだよ⁉俺がなにした?」


茂信はそう返事をしたが、


「午前7時50分、佐藤茂信。強盗殺人の罪で逮捕する‼」


明らかに見覚えのないでまかせを言われた。


「何言ってんだ‼俺がいつそんなことをした⁉」


そんな訴えも虚しく、茂信はパトカーに詰め込まれた。




取調室・・・、


「お前がやったんだろ‼証拠が挙がってんだ‼」


証拠の写真を見せられても、全く見覚えがなかった。


「何言ってんだ‼その日のその時間は会社の飲み会があって、俺はそれに参加していた‼何なら同僚や上司に聞いてみればいいじゃないか‼」


すると刑事はこう言った。


「おかしいぞ?会社の皆さんに聞いたがお前は飲み会に参加してないと言ってたぞ?」


「はあ!?」


まさに寝耳に水。会社のみんながそんな嘘をついた等、思いもしなかったからだ。


「さらにお前はギャンブルで借金まみれらしいな?お前の両親から聞いた」


「俺はギャンブルなんかしないぞ‼借金もないぞ‼」


あらゆる汚れ事を言われ、茂信はそろそろ限界が来ていた。そもそも両親までもそんなデタラメを言ってることに信じられなかったのだ。


「そろそろ罪を認めたらどうだ?」


「だから俺じゃ・・」


そのとたん、


「よし、罪を認めたぞ」


茂信の言葉と全く関係ないことを言い出す刑事。


「ちょっとまて‼」


その掛け声も虚しく、裁判へ・・・。


「証言者を召喚します」


証言者は全く接点のない老婆。そして他にはなんと両親と同僚と上司もいたのだった。


「この男です‼包丁で刺してる所を見ました‼」


「佐藤さんにはよく金をよこせとせがまれた事があります」


「佐藤さんにかなりのセクハラを受けた事もあります」


「み、みんな何を言ってるんだ⁉」


全く身に覚えのない事実を言われ、戸惑う茂信。


「息子はろくでなしの屑でしたが、まさかここまで・・・」


「お袋までなにを‼⁉弁護士さん何とか言ってください‼」


だが・・・、


「ふぁ~~~・・・」


弁護士は全くやる気が無かった。


もはや誰も茂信を味方するものはいなかった。


そして判決・・・・、


「主文。被告、佐藤茂信。被告を死刑に処す」


茂信は膝から崩れ落ちた。


「嘘だ・・・」


その後、刑が執行されるまで拘置所に収監される事となった茂信。収監されてる間、毎日が力ない生活だった。


死刑囚は基本刑務作業はない。軽い運動、食事と入浴と就寝以外は完全に暇だ。その為、死刑囚は何かしらの趣味を見つけて暇を持て余す。漫画を読んだり、小説を書いたり。


だが茂信は無実の罪、そしてあらゆる人間に裏切られた事のショックで、常に体育座りしたまま過ごしていた。


そんなある日・・・、


「囚人番号904番佐藤茂信、出房。面会だ」


執行ではなく、どうやら誰かが面会に来たようだ。その人物は、


「初めまして、佐藤茂信君」


「あんたは⁉黒林秋麻‼」


なんと、面会に来たのは大物政治家にして次期総理大臣候補の黒林秋麻だ。当然茂信とは面識はない。


黒林が口を開く。


「この度は息子の罪を被っていただき、ありがとうございます」


「まさか、俺が死刑になったのは・・・‼‼」


そう、茂信が死刑になったのは、黒林の権力による息子の罪の隠蔽と茂信の罪のでっち上げによるものだったのだ。


「そうさ。罪を被ってもらったよ。次期総理大臣の息子が犯罪をやったなんて世間に知られたら私のキャリアが崩れてしまうからね。まあ、君は運が無かったと思って人生を諦めなさい」


その言葉に全く悪びれる様子がなかった。


当然、茂信は激怒した。


「ふざけるな!!!!人の人生潰しやがって!!!刑務官さん、今聞きましたよね⁉」


「・・・・」


だが刑務官達は何も動じない。


「無駄さ。あらゆる人間に鼻薬を効かせておいたからな。司法の人間はもちろん、貴様と親しかった人間もな」


その言葉に全てが確信した。


「まさか、親や同僚達が俺を裏切ったのは・・・⁉」


「そうだ。大金をくれてやった。みんな大喜びで率先して飲んでくれたよ。どうやらお前よりも金の方が可愛かったようだな。特にお前の両親は大金を見た途端、『好きにして下さい‼』って言ってくれたよ」


この事実は茂信の精神に確実にトドメを刺すものだった。


「嘘・・・、だろ・・・?」


今まで信用してた仲間、そして両親がお金と言う悪魔の契約に乗ったからだ。


「それでは私はこれにておいたまするよ。死刑執行まで人生を謳歌するといい」


ここで面会は終了した。


「はは・・、ははは・・・・、はははははははははははははははは、あはははははははははっ!!!!!!!!」


茂信は狂った。狂ったと同時に笑った・・・・。


「取り押さえろ‼」


取り押さえられたと同時に独房に戻された。




現在・・・・・、



「この世界に、復讐する・・・!!!」


そう言い放った直後、執行の合図を出す。3人の刑務官が3つのボタンを同時に押す。


バタンッ!!!


床が開いた。


そして・・・、


「心拍停止。死亡確認」













「おぎゃあああああっ!!!」


ある一軒家で一人の赤子が産まれた。


「メリア!よく頑張ったわ!元気な男の子よ」


「はぁ・・・、はぁ・・・」


メリアと言う女性は生まれた赤子をみて安堵した。


「私の坊や・・・」


看護婦から赤子を譲り受け、抱っこした。


「かわいいかわいい私の坊や・・・」


「水を刺すようで悪いけど・・・、いいのかしら・・・?こんな国に生まれてきて」

「待て!奴らに聞かれたら・・・‼」


咄嗟に医者の男が口を塞ぐ。


「あ、危なかったわ・・・」


するとメリアは赤子を見て、


「大丈夫。私が何とかこの子を幸せにするわ。この子の名前は、リョーマ。そう、あなたの名前は、リョーマ」


「ばぶぅ」


そしてこの赤子が十数年後、『独裁者の天敵』となって世界を変える事をまだ、誰もしらない。



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