第7話 開始

その日のヴァイスからの帰り道、詩矢は一人で帰っていた。

「なんでこんなに静かなんだろう。」

「それはあなたを捕まえるためですよ。」

そう言われ詩矢が振り返るとそこにはAKの上層部、本部長の本間風吹(ほんまふぶき)がいた。

詩矢は気配に気づけず驚きながら素早く後ろを振り迎えろうとしたがその時にはもう眠らされていた。


「ん‥ここは…」

「やっと目が覚めましたか。ここはAKの本部にあるアウェルの収容所です。あなたは捕まったのですよ」

そう言われ飛び起きるとベット以外何もない白い部屋で前に壁付きの窓を挟み吹雪が立っていた。

「あ、そうそう、あなたの仮面、なんだか外れなかったのでつけたままですがどうにか外す方法を見つけ出すのでそこのところよろしくお願いしますね。」

そう言われ窓に反射した自分を見るとそこにはいつもシオンの仮面とは違うどこかでみたことのある楓の葉の仮面であった。

「それでは、私はこれで。多分この後他に何人か来ると思います。」

「…わかった」


詩矢がベットに横になり天井を見ていると窓の向こうに誰かが来た。

「…こんにちは。角折れ。」

詩矢はどこかで聞いたことのある声だと思い飛び起きたが見てみると真っ白な髪に狼の面をつけた白銀であった。

「…あぁ、AKのエンペラーか。話はよく聞いてるよ、白銀さん。ねぇ、なんで面なんてつけるの?どうせ会ったことないんだし外しなよ。」

「それはできない。僕の顔はとても醜いからね。」

「…今嘘ついたでしょ。あんたとあたったアウェルのみんな気を取られるほどの美形だったって言ってるよ。」

「…そうかい、それは嬉しいね。」

「…あんたもしかして…私に会ったことある?」

すると白銀が少し反応した。

「…いや…ないよ。ただ僕は今君をここですごく抱きしめたい。でもそれができないから見に来るだけ来たのさ。」

「…そうか、私は見せ物か」

「いいや、君は見せ物なんかじゃない。絶対誰にも殺させないよ」

「…そうか」

すると白銀の後ろのドアが開き瑠違がきた。

「あれ、白銀さん?」

「あぁ、藤村くん。ご無沙汰してるよ。じゃぁ僕はこれで」

そう言いながら白銀は立ち去っていった。

「…やぁ、角折れ。今日はゆっくり話せそうだな」

「時間の余裕はあるかもしれないが心の余裕は全くないな」

「ははは、面白いことを言うね。…なぁ、前から話したいことがたくさんあったんだ。聞いてくれないかい?」

「あぁ。いいさ。」

「お前って学校神楽中?この前の校内放送でそんな感じのこと言っててお前出てきたから」

「まぁ、そうだな。」

「へ〜案外近くにいたんだな…なぁ、お前が見たことあるか聞きたいことあるんだけど…」

「うん」

「少し薄いピンク色の髪の毛に青と緑の瞳で、ロングヘアのアウェルっているか?」

「うーん、ロングじゃなくてショートだけど薄いピンク色の髪に青と緑の瞳のアウェルは確かにいる。」

「ほんとか!?」

「あぁ。イビルの幹部の永遠って奴がいる。永遠に見た目が美しいままだから永遠って言うんだよ。」

「…そうか、その人は今どうしてるんだ?」

「今は…そう言えば最近会ってないな…まぁでも元気だと思うよ。…永遠に会ったことあるの?」

「…あぁ、一応な」

「そうか」

すると瑠違は自分の時計を少し見て

「悪い、そろそろ時間だから行くわ。またな」

「あぁ。」


瑠違がいなくなってから少し時が経ち1時間ほどした頃であった。

一人の男が詩矢の部屋に入ってきた。

「やぁ、初めまして。角折れ。」

そう言いながら暗闇から顔を表したのは御上であった。

「‥誰」

「あぁ、失礼。私の名前は御上透、AKの本部長だ」

「…で、その本部長様私になんの用?」

「何って別に聞きたいことがあるから聞きにきたんだ。ちょっと部屋を変えようか。今移動させるよ」

すると詩矢の部屋の中に二人の男が入ってきて詩矢はハンカチのような布で眠らされてしまった。


「ん…ここは…」

詩矢が辺りを見回すとそこは一面白い彼岸花で覆われた花畑であった。

「白い…彼岸花…」

するとそこに御上が現れた。

「実は、私…あなたに見せたいものがあるんです」

そう言いながら御上はニヤッと笑い一つの袋を取り出した。

「この袋何が入ってると思います?」

「…」

そして御上が袋から取り出したもの、それは兎黒と遥希の生首であった。

それを見た瞬間詩矢は震え始めた。

「あ、あ、あ…あぁ!な、なん…で…!そ、そんな!」

「ふふ…ははははは!最高ですね!今の君の顔!目は見えなくとも伝わる恐ろしさ、実に美しい!これで僕の目的ももう直ぐ果たせる…」


その頃、ヴァイスでは

「くそっ、どこにいるんだ、詩矢!いなくなってから一週間経つって言うのにどこにも見当たらないなんて!」

「…なぁ、遥希。おかしいと思わないか?」

そう言いながら兎黒が遥希に深刻そうに問いかけた。

「確かにあいつは強い。俺が初めてあった時にもう傘を使えていた。でもあいつだってまだ俺らと同じ16歳だ。何が起こるかわからない。でも多分死んではいないだろう…その代わりに詩矢は…AKに捕まっている可能性が高い。」

「「…!!」」

その場にいた全員が固まった。

「…御上!そうだ、まずい!御上だ!」

兎黒が声を荒げながら叫ぶように慌てた。

「まずい、御上は催眠ができる!もし詩矢が催眠にかけられていたら…!!」

「…四季の秋から命令だ。今直ぐアウェルを集めろ!」

「「「「了解」」」」


「今日ここにみんなを集めさせたのには理由がある。エンペラー候補である角折れがAKに攫われたかもしれない。」

すると周りがざわつき始めた。

「うそだろ、角折れが!?」

「琥珀様の娘だぞ!?」

するとざわついた空気の中星空がスッと手を上げた。

「落ち着け。角折れはエンペラー候補、そう簡単には死なない。だからと言って油断できる状態でもない。そして今は神楽第二大戦が近づいていて非常にまずい状態ではある。だからあいつを信じるしかない。」

するとアウェルたちは頷いた。

その夜、アウェル達はとても長いようなきがした。

これから自分たちがどうなるか考え、そして第二大戦への備えで。


次の日、午前9時。

天候はあの日と同じ曇り。


警報が鳴った。


ウーン、ウーン、


すると放送が流れ始めその声は藤村伊月の声であった。

「これより、神楽第二大戦を始める。AKのものは各自配置につくように。


長い日の幕開けであった。

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