第5話 琥珀糖

「そう言い私たちアウェルは約束を結んだ。私たちの本物の生みの親、メーテとかわした約束だ。皆今もその約束を守り続けいつか幸せになれる日を目指しているんだ。」

「ふーんアウェルが幸せね…というかそんな話俺にしちゃって大丈夫なの??」

「…なんだかお前になら話してもいいと思えた。なぜだろうな。私もわからない」

「へー。にしてもシーヤか…」

「シーヤがどうしたんだ?」

「いや、俺の親友と名前似てると思って、俺の親友詩矢って言うんだ」

「…そうなのか。ところでお前はなぜ私を襲わない?」

「うーん、なんかここでやってもあんまり気分乗らなさそうだからかなぁ〜。それにここ、お前の大切な場所なんじゃないか?」

詩矢は少し驚きその後にまた話し始めた。

「…あぁ、すごく大切な場所だ。とある人との大事な場所なんだ。」

「どんな人?」

「すごく強い人だ。アウェルの幹部でな。」

「そんなこと言ったら角折れだって幹部じゃん」

「私は名前だけだ。力などは全くない。」

「ふーん」

瑠違は空を眺めながら詩矢に話しかけた。

「なぁ、なんでメーテはアウェルを作ったんだろうな。現に今こうやってアウェルはあまり幸せではない。というかアウェルの性質的にやばくなるってわからなかったのかな…」

「…それはメーテにしかわからない。私たちアウェルにもわからない。唯一の秘密だ。」

「…なぁ、またここにきてもいいか?ここにいる時はお前と戦わないと誓うから」

「あぁ、いつでもこい」


次の日

学校は授業中だった。

するといきなりサイレンが鳴り始めた。

「あー、あー、聴こえますか?アウェル団体イビルの白鈴でーす。」

すると周りが騒ぎ出した。

「イビルってヴァイスの次に権力持ってるあの…」

「白鈴ってやべえじゃねえかよ!アウェルの中でも20に入るくらい強いやつだろ!?」

「どうすんだよ!?てかなんのために!?」

すると放送の音声がまた流れ始めた。

「えー俺たちイビルの目的はこの学校にいると思われる"黒薔薇"と"角折れ"を回収しにきました〜。とっとと出てきてくれませんかね〜」

「「黒薔薇!?」」

「それってやべえじゃねえかよ!?」

「いつ殺されるかわかんないよ…」

周りの生徒達は自分がいつ殺されるかわからない恐怖に追い込まれていた。

「でもさ、それよりやばいのは…角折れだよ…」

「そうだ!あいつは化け物だ!うちの知り合い達みんなあいつに殺された!」

「やべえじゃねえかよ…」

するとずっと下を向いている詩矢に兎黒が話しかけた。

「詩矢…大丈夫か…?」

「うん…」

すると瑠違はいきなり教室を出た。

「おい、瑠違!どこにいくんだよ!?今外出たらやばいだろ!?」

「ん〜?大丈夫だよ!」

すると詩矢と兎黒は目を合わせ二人も教室から出ていった。

すると校舎裏で遥希達に連絡をした。

「もしもし遥希!?兎黒だ!学校にイビルの白鈴達がきて俺らのことを探しているらしい!原因は多分…そう言うことだ…至急応援を頼みたい!」

すると遥希達はそちらに向かうといい電話を切った。

だが今の時間帯は昼。

ヴァイスの仲間達は人間に紛れているため来れないものが多かった。


「くそ、なんでこんな時間帯に…」

「どうしたの、遥希?」

遥希が頭を抱えているとそこには四季の冬、氷柱がいた。

「実は…」

遥希が今までのことを話すと氷柱は外に出る準備をした。

「私が行きましょう。この氷柱の私が。」

そういい氷柱は外へ出ていきその跡を遥希も追っていった。


そのころ学校では

「ねぇ、ダスト〜、あいつら全然来ないじゃ〜ん。」

「少しくらい待ちなさい。白鈴。」

「え〜」

すると放送室に誰かがやってきた。

「お、もしかして角折れ!?」

「アウェル特別区除隊、白い悪魔、藤村瑠違です」

瑠違がニヤッと笑うと白鈴の顔色が変わり

「俺お前のこと呼んでねえんだよね〜。ねぇ、なんでいるの?」

「そりゃぁねぇ、俺だってお前みたいなやつと痛くないですけど…仕事なんで」

「人間ってすぐ仕事仕事言うよね。まじ腹立つわ。」

「ふふ、おんなじですね。俺もあなたに死ぬほど腹立ってます…」

「そっか、で?」

するとそこに兎黒と詩矢が来た。

「白鈴…何してるんだ。なぜ学校にいる」

「あ!角折れ!!」

すると白鈴は詩矢に抱きついた。

「え!?」

瑠違は何が起きたかわからなかった。瑠違は白鈴が角折れを殺しに来たのかと思っていたからだ。

「ねぇ…白鈴!学校にはあれほど来ないでって言ったよね…!!」

「え、でも、俺はし、じゃなくて角折れを回収しに来ただけで…そのぉ…」

「おい、白鈴?」

そこには顔は笑っているのに目は笑っていない兎黒が立っていた。

「なんだよ、お前呼んでない、来んな」

「は!?と言うかお前回収ってなんだよ!?」

「それは、俺が角折れに早く帰ってきてほしいってことだ!!」

すると詩矢はにこにこ笑いながらスマホを取り出した。

「え、待って嘘でしょ…母さんに電話したとか言わないよね…?」

「別にあなたのお母さんに電話はしてないわ。ただ遥希に電話しただけ」

「は?なんでクソ兄貴に電話すんだよ…あいつに電話すんなら俺にしろよ!!」

「いるのになんでするんだよ」

すると放送室の温度が一気に下がり器具達が一気に凍った。

「え、こ、これって…」

白鈴が恐る恐る後ろを振り向くとそこにはヴァイスの四季の冬、氷柱が立っていた。

「か、か、母さん…?」

「ねぇ、白鈴。こんなところで何をしてるの」

…その後白鈴は氷柱にとてつもなく叱られ帰っていった。

「ごめんなさいね、白い悪魔さん。今回は見逃してくれないかしら?それと角折れちゃんうちの愚息が迷惑をかけてごめんね?」

「俺はいいですよ」

「私ももう大丈夫です。」

そうして長い1日が終わった。


次の日学校の生徒達は瑠違がAKの白い悪魔だったという話で盛り上がっていた。

「なぁ、瑠違!お前すごいな!」

「あ、あはは…ありがとう」


その日の放課後

詩矢はいつものビルの屋上にいた。

するとそこに瑠違もやって来た。

「やぁ、角折れ。昨日ぶり。」

「…あぁ…昨日ぶり…なぁ、お前あの学校にいたことバレていいのかよ…」

「…まぁ、別にいいよ。高校卒業したら飛び降りて死ぬつもりだし。」

「…それってお前がこの前言ってた親友悲しむんじゃないの?」

「まぁ…その場合は…親友も殺してあっちで幸せに暮らそうかな」

「は?」

「だって、俺の死を悲しむくらい俺のことが好きってことでしょ?それって最高だよね。そんなに俺のこと見てくれる人なんて今までいなかったからさ」

「そ…うか…」

「……ねぇ、角折れ、君はAKのこと嫌い?」

「…嫌いじゃないと言えば嘘になる。なんなら死ぬほど嫌いだ。でも私たちもおんなじことをしてるから何も言えない。」

「…そうか…」

「…昔、自分のことを気にかけてくれていたアウェルがいたんだ。私の第二の親のようなアウェルだった。アウェルの名前は琥珀糖。あの人は本当に綺麗な人だった。舞うように人を殺して私に人の殺し方を教えてくれた。とっても綺麗な人だったよ。紳士で女の人にはいつも優しくてでもどんな女性も本気にしなかった。その時は私の世話で忙しかったからだと思う。本当に申し訳ないよ。あんなにいいやつもらってくれる人なんてゴロゴロいるはずなのに私が邪魔しちゃったんだから。」

「…でも、琥珀糖が自分で決めたんだからいいんじゃない?というかもっとその話聞かせてよ」

「琥珀糖は…相手にしたAKの女性も虜にしていた。すごかった。あんなにすごい人に私は色々ならえたなんて幸せだよ。でも琥珀糖は死んだ。でも7年前、あいつは神楽大戦で死んだ。まだ若かった。20歳だった…


7年前

「起きて、詩矢!」

そう言われ目が覚めた。

「おはよう、琥珀」

「うん!おはよう!」

彼の名前は廣瀬琥珀(ひろせこはく)。

20歳の大学生だ。

「ねぇ、琥珀!今日ヴァイスに行きたい!」

「ダメだよ。まだ詩矢は9歳なんだから。」

「まだじゃない!もうだ!」

「ふふ、そうだね。おっきくなったよね、昔は3歳だったのに…


6年前

琥珀は神楽市で仕事をしていた。

するとそこに二人の男女と小さい女の子がやって来た。

「なに?殺してほしいんですか?」

すると二人は黙ったまま一緒に来た女の子を琥珀の方に投げ捨てた。

「な、あなた達何をしているんですか!?見るからに自分の子供ですよね!?」

「自分の子供…?ふざけるな!!私たちの子供がこんなに忌々しいアウェルだなんんて!!」

「アウェル!?ですがあなた達は人間ですよね?」

「そうよ、突然変異なの…もう私たちにこのこは育てられないわ。さようなら。」

そういい親子はさっていった。

「ちょっと待ってください!…しょうがない。君、名前は?」

「…ない。知らない。」

「そうか…じゃぁお兄さんが名前つけてもいいかな?」

「…名前!くれるの…!?」

その時女の子は満面の笑みで琥珀を見た。

琥珀はこの子がどんな環境で育って来たか大体はわかった。

服もボロボロ、汚れていて怪我もたくさんしている。

そしておまけに折れた角。頬には涙の模様が現れていた。

「…君の名前は廣瀬詩矢だ…詩う矢って書いて詩矢だ。歌の歌詞のように表情がコロコロ変わるのといつか俺がいなくなっても大事な人を守れるように矢だ。いい名前でしょ?」

「…詩矢…うん!」

「じゃぁこれからよろしくね、僕の可愛い娘ちゃん!」

「うん!!」

「あ、僕の名前は琥珀って言って…」

そうして幸せに暮らしていた。

その後私はヴァイスに行き皆と仲良くなった。

私が琥珀に拾われた時琥珀はまだ14歳だった。

学校も早く帰って来て私を見てくれていた。

本当ならもっと自分のやりたいことをやって欲しかった。でも幼い私には何もわからなかった。


7年後

「詩矢、いってらっしゃいのちゅーして!」

「いやだよ、私もうそんな歳じゃないし!」

「そんなぁ…」

そうやっていつものように琥珀を送り出した。

でも次の日いつもと何か違った。


「詩矢…」

「ん?なぁに?」

すると琥珀は詩矢を抱きしめ悲しそうな声で

「いって来ます…」

そういい家から出ていった。詩矢が不思議に思いながら過ごしていると時間は昼になっていた。そうするといきなりサイレンが流れた。

「え、な、なに?」

サイレンから人の声が流れ始め

「これより神楽大戦を開始いたします。AKは琥珀糖及びその他のアウェルの追撃してください。街にいる方達は速やかに逃げてください。」

「え、神楽大戦?それに琥珀糖って…琥珀のことじゃ…」

そういい心配になった詩矢は家から飛び出しいつも琥珀と散歩に行った鉄橋を目指した。

向かっている途中で幼い頃の遥希に出会った。

「遥希!聞いて!大変なの!琥珀が…琥珀が!!」

すると琥珀は下を向きながら首を振った。

「…だめだ。いっちゃだめだ…。琥珀先生に言われたんだ。詩矢のことよろしくって…!!」

「…もういい!!遥希なんて嫌い!」

「待って詩矢!!」

そういい私は琥珀のいる鉄橋へと向かった。


「くそ…結構押されてるな…」

琥珀はAKと戦闘中。

そんなところに私が来てしまった。

「琥珀糖!!」

「詩矢!?!?」

その時私は気づかなかった。背後に敵がいることを。

それを見て琥珀は私を庇い怪我を負った。

「琥珀糖!」

「ばかっ!何してんだ!なんで来たんだ!!」

その時初めて琥珀に怒られた。

「でも…琥珀が死んじゃうと思って…ごめんなさい、ごめんなさい」

琥珀は我に返ったかのようにハッとしながら私に大丈夫といってくれた。

すると後ろから一人敵が迫っていた。

AKの黒い悪魔。野薔薇唯兎(のばらゆいと)だった。

「…走れ。そこのビルの上まで行け。」

そう言われ今私たちがいるこのビルに来た。

そうして琥珀は私を抱えながら屋上へと来た。

だがそこにはお前の父親、藤村伊月(ふじむらいつき)が立っていた。

そうして琥珀はそこで撃たれた。

「ねぇ、琥珀!!死なないで!お願いだから!」

「…詩矢。お前の名前の由来覚えてるか?」

「覚えてるよ!!いつでも元気に歌って…琥珀がいなくても大切な人を守れるようにでしょ!」

「あぁ、だから俺はもうお前には必要ない。」

「そんなことないよ!!」

そう私が泣いていると琥珀は自分の角を折った。

「詩矢、これあげる。君の折れた角につけな。でも約束、いつか君が大きくなって僕のエンペラーの座を継げたらつけていいよ。じゃぁ、これでお別れだね。バイバイ。僕の世界で1番最高に可愛くて大好きな娘ちゃん。愛してるよ。」

「いやだよ、置いてかないでよ…!」

琥珀は伊月に連行されていった。。最後みた琥珀は私の方を向きながら泣いていた。ごめんね、ごめんね、って言いながら。すごく悔しかった。その時から私はAKを恨むようになった。


「…なんかごめん…俺の親父がひでえことしたみたいなだ…」

「別にいいんだよ、しょうがない。どれに私は琥珀の角だって持ってる。一人じゃない。みんなもいるし。」

そういい詩矢は立ち去っていった。


その頃ヴァイスの拠点では…

「詩矢、ごめんね、大丈夫。俺が守るから…」

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