第146話

もう改札を通らないと。


頑張って笑顔を作った。




「那由多、またね」


「うん」




でも、那由多は返事をしただけで動かなかった。




「那由多?」




電車きちゃうよ、っていう前に手を捕まれる。


なんだろうと思って那由多を覗き込んだら、真剣な表情があった。




「やっぱりお祝いちょうだい」




お祝いって、優勝の?


と聞き返そうとした瞬間。




ちゅ。




引かれた手に逆らえずに前に出た私の頬に、温かい感触。




「じゃあまたね、零ちゃん」




那由多は少し顔を赤くしながらも、笑顔でホームへ走っていく。


そして、すぐにきた電車に乗って私に手を振ると行ってしまった。




私は、ただ呆然と手を振り返してた。

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