第5話

私は那由多が泣かないように、笑ってくれるようにいつも気にしてた。




だって、那由多の笑顔が大好きだったから。




ただ、大好きだったから。






那由多も私をよく笑わせてくれた。




ママに怒られて泣いてたりすると、紙と色鉛筆を持ってきて私に絵を描いては差し出してくれた。




そこに描かれているのは決まって同じ。




私の似顔絵。




私は嬉しくて、すぐに涙を引っ込めて笑った。




つられて那由多も笑うので、ふたりしてバカ笑いをしてはママのため息を聞いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る