(6)

「そんな……そんなに都合良く、『魔法使い』がゴロゴロ居る訳が……」

 俺は、当然のツッコミをやる……。

 いや……でも、「はい、論破」って感じじゃなくて、自分でも震え声だと判る声だけど……。

 だって、土屋の様子からすると……本物みたいで、しかも、RPGなんかであれば「あ、絶対に勝てない」クラスのレベル差が有りそうな感じだ。

「三七一人」

「へ?」

 謎の男女は、携帯電話ブンコPhoneを見ながら、謎の人数を口にする。

「大手SNSの『北九州市門司区の魔法使い』コミュニティの登録者数だ。人口十万弱の門司区だけでも、少なくとも、そんだけの『魔法使い』が居る」

「何で、そんなSNSコミュニティが有るんですかッ?」

「フツ〜の人間が知らないだけで、結構、ヤバい事が、しょっちゅう、色々と起きてんだよ。『浄化』するのに、並程度の腕前の『魔法使い』が十人か二十人は要るよ〜な心霊スポットが町中に出現しかけるとか。その手の場合に『魔法使い』を集める為だ」

「それ……本当なの……?」

 一応、土屋に確認。

「う……うん……。町を歩いてても『あ、何かヤバそう』みたいな所が結構有ったり……そんな場所が、いつの間にかフツ〜の場所に戻ってたり……」

 え?

 何?

 まさか、現実の世界って、マジで、ラノベみたいに、一般人が知らない所で光と闇の戦いみたいな事が起きてるよ〜な世界だったの?

「で……本題だ。おい、そこの『魔法使い』モドキ。お前もヘボみて〜だけど、あたしの同業者の端クレなら知らねえ訳ねえだろ……『他の魔法使いの力量を探る』魔法が……え〜っと……何て言うんだっけ……理系用語だと……その……」

?」

「そう、それ。レーダー波だか何だかを飛ばして相手を調べるよ〜なモノだから、相手に気付かれちまうって事をさ……って?」

 声の主は……俺達が居る雑居ビルの入口あたりに居た。

 これまた、バカデカい登山用らしいリュックを背負い……まぁ、早い話が、こいつも登山帰りみたいな格好。上着もズボンも靴も。

 男女よりは「可愛い」系の顔だけど、何と言うか……男女の方が「女なのに俺達よりちょい上ぐらいの齢の男」に見える顔だけど、こいつは「中学生ぐらいの可愛い系の男の子」に見えない事もない顔だ……あと、妙に彫りが深い。日本人なのか、東南アジア系の外人なのか、見分けるのが難しい。

「何やってんの? 行くよ」

「いや……でも……、お前も知らね〜とは言わせね〜ぞ」

 パシャ、パシャ、パシャ……。

 次の瞬間、カメラのフラッシュの光が何度も……。

 2人目の謎の女が、携帯電話ブンコPhoneで俺達を撮影。ご丁寧に、自動連続撮影モードのようだ。

「そりゃ、ボクも、マズいってのは判ってるけど、ここの『魔法使い』コミュニティに任せた方がいい。悪いけど、この辺りに住んでる『魔法使い』系の知り合いに君の事を連絡する。あ、知り合いってのは、複数名ね」

 こいつのしゃべり方……ビミョ〜に「外人訛り」が有るよ〜な気が……。

「ちょ……ちょっと待……」

「吽……」

 土屋が2人目から、携帯電話ブンコPhoneを奪おうとした時……。

 ガクン……。

 男女の方が……呪文なのか、単なる気合や掛け声なのか判らない超短かいワードを唱えたと同時に、体が何倍にも重くなったような……そして、膝から力が抜け……。

 しかも、土屋も同じらしく……。

「すまんな……2〜3分で術は解ける」

「あと、生徒手帳も撮影させてもらうよ。冗談抜きで……から……」

「な……なにが……おきるって……」

「おい、マジで、そんな事も知らねえのか?」

「だから……な……なに……」

「『使

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