(3)
女の子2人とカラオケなんて、オタク男の夢みたいなモノだろう……。
ボクと一緒の部屋に居るのは……土屋と……。
「ごめん、あたしには無理。他の誰かに頼んで」
学校からギリギリ何も言われずに済むレベルの茶髪で、その長めの髪をツーサイド・アップにして……までは府川さんと同じだけど、顔やしゃべり方はヤンキーっぽい女の子が、そう答えた。
現実に良く居る「萌えキャラみたいな髪型や服装だけど、俺達オタク男からすると『これじゃない』」的な感じの女の子だ。
服は高校の制服だけど……どこの高校かは判らない。
「だ……誰?」
「まぁ、『魔法』の修行をやってた頃の同窓生みたいなヤツ。で、何で、あっさり、そう答えるの? あんた、精神操作が専門でしょう?」
……。
…………。
……………………。
え……?
二〇〇一年九月一一日、まだ「アメリカ合衆国」という呼び名だった
世界で最初に一般人が実在している事を知った「異能力者」は精神操作能力者だった。
それ以来、精神操作能力者にはマズいイメージしか無い。
エロゲーにも「催眠もの」は有るが、かなりアングラ系のヤツだけだし、小説投稿サイトでは、「催眠」「精神操作」が出て来る小説には専用タグを付けないと規約違反になる場合が多い。
本音では「もし、一度に何万人もの人間を操れる『催眠能力者』『精神操作能力者』が居たなら、そいつらにリテラシーの無い阿呆や『正義の味方』みたいな『正義の暴徒』どもを洗脳させた方が世の中良くなるんじゃないか?」と思ってる人達も少なくないが、そんな事をSNSなんかで言ったら、並の人間なら心が折れるレベルの炎上が起きる。
言いたい事も言えない窮屈な世の中だけど、「精神操作」「催眠」系の異能力は、それ位、イメージが悪い。いや、多分、「正義の味方」どもの賛同者が、例によって感情的な「正義の暴走」をやらかして、「精神操作」系の異能力の持ち主に対する悪いイメージを広めてるんだろうけど。
「あたしは、
「え……えっと……その……何で、向いてない魔法なんか修行したんですか?」
俺が、そう訊くと……。
「話してないの?」
「話してない」
土屋は困ったような表情で顔に手を当ててる。もう1人の女の子は……同じく困ったような表情で頭を掻いている。
「『魔法少女』絡みのヤバい件に部外者を巻き込むなら……あの事を話しといた方が良くない?」
「な……何の事?」
「聞いたら、後戻り出来なくなるよ〜なヤバい話」
「でも、『正義の味方』が『魔法少女』を狙ってるなら……多分、『正義の味方』どもは知ってるよ……『魔法少女』の大半が、何で魔法の修行を……
おい、何だよ。何か、俺、思ってたより、遥かにマズい事態に巻き込まれてんのか?
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