(19)
「だから、ここまで厄介な事になってるんで、あんたに頼みが有るんだよね。2つほど」
土屋は、そう言い出した。
「2つ?」
「1つ。当分は、この件に関わるな。少なくもと、自分から積極的には。この件は、その位、ヤバい」
いや、ちょっと待てよ。
だったら……。
「だったら、何で、こんな話、俺に話したッ⁉」
「2つ目の頼み。こっちが、より重要」
土屋は俺を無視して、そう言い出す。
「私達に万が一の事が有ったら、この情報を拡散して。必要な情報は、事務所にバレない手を考えて、あんたに渡す。私達が、私達に喧嘩を売った連中と、どう戦って、どう負けたかを、出来るだけ多くの人に報せて。拡散する方法は、あんたに任せる」
「えっ?」
「相手は、それ位、ヤバそうな連中だって事。多分だけど、『魔法使い』殺しは、本当に居ても魔法は使えない。魔法を使うには魔力なんかだけじゃなくて、霊感みたいなモノも必要。でも……『魔法使い』の間の都市伝説の通り、『魔法使い』殺しが、その手の能力を全く欠いてるなら……」
「あ……あ……」
そうか……なら……。
「だったら、対抗手段は……有りそうな気が……」
「けど、私達に喧嘩を売った奴らは……
あ……たしかに……。
「『魔法使い』が都市伝説と思ってた『魔法使い』殺しらしい奴を……下手したら複数人見付けてきて……しかも、ちゃんと有効に使ってて、挙句の果てに『魔法使い』殺しの少なくとも1人は、武術の達人」
「マズいね……それ……」
「あと、催涙ガス……。『魔法使い』は精神集中が出来なくなると、結構脆いんだよね。しかも『気功使い』は呼吸が乱れたら、一発アウト」
あははは……。さらに、しかも……。
「しかも、あいつらは防毒マスクに防護ゴーグルを
「あ……あの……それってさ……冗談抜きで」
「そ……ネット用語で言う『プロの手口』ってヤツ……。だからさ……」
土屋が続けて言った事は……余りに予想外の……。
「私と杏が『関東難民』だって事は知ってるよね? なら、これも想像が付いてるよね?」
え? 何の事?
「
……。
…………。
……………………。
いや、ちょっと待って。
想像付いてた訳ないだろ、そんな事ッ‼
「他の場所で『御当地魔法少女』をやってる子の中に、私や杏の『同窓生』が山程居るんだよね……。あいつらが『魔法少女』の何が気に入らなくて、私達に喧嘩を売ったのか判らない。けど、万が一、私達が負けても……私達の
お……おい……何か……すごい大事に巻き込まれてる気が……。
「私達が倒れても……きっと、誰かが見付けてくれる。日本中に居る『御当地魔法少女』の誰かが……奴らに立向う手段を」
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