第1話

ラグラド王国

国の有力貴族ブラッド家にて

そこに、1人の貴族の無能な後継ぎと、日本人の1人の少年が入れ替わっていた


「へ……!?」


(死んだと思ったのに、動ける……しかも、カラダが軽い……っ!)


黒髪で藍色の目の美少年

左目は失明しており、眼帯を付けている


少年は、鏡を見ると


「わっ……!ホントに生き返っちゃってる……!?それに……さっきからカラダの中にある、ヘンなの……これは……?」

「魔力よ」

「わっ……!?だ、だれ……?」


少年の後ろ、微妙に鏡越しに見えない位置に、1人の大人びた女性がいた


「安心して、あなたに害を加えるつもりはない」


どことなく、不気味なオーラを醸し出しながら、とてもお高そうな扇子をパタパタとあおいでる


「うふふ……貴方、お名前をもう一度」


少しニヤリとした顔で女性は言う


螢火芹亜ほたるびせりあ、って言いたいとこだけど、変わるんだろ?名前……」

「あら、察しがいいじゃない、一応説明するけど、貴方は私がこの世界に召喚させたの」

「死んだ記憶しかないんだが……」


芹亜は思い出す

トラックに轢かれたあの時のことを


「うわぁ、思い出したくねぇ……その証拠が多分この左目だし……」

「…………間に合わなかったたのよ……」

「は?」

「間に合わなかったのよっ!貴方が14歳で死んだから、転生記念の能力も、事故で潰された左目も、何もかも……っ……」

「おいおい待て待てどういうことだ??」


芹亜は放たれた情報量の多さに少し混乱していた

サラサラになった肩ほどまである黒髪をいじり、額に手をあてながら聞きたいことを聞いていく


「まず…………なんで14歳で攫っちゃダメなんだ?一応大学生なの……だったんだが……」


芹亜は14歳ながら、アメリカの有名大学に留学生として研究をしていた

そして、ものすごく優秀だったので

超常現象対策委員会

という、その大学での極秘の研究グループに配属されたのだ


「…………日本人、どうしても攫いたかったのだけど……えーと、義務教育?ってもの、終わるの15歳らしいから……貴方14だから待ってあげたのよ」


そんなことをカミングアウトする目の前の女性

芹亜は大きなため息をつき 


「なんでアメリカまで追っかけしたんだ?日本人なら日本に行けばたくさんいるだろ、そっから攫えばいい」

「見事なる正論パンチね、でも私にはできなかった、能力で、今ここの世界とあなたの元の世界の1国とつながっていたのよ、その国がアメリカ」

「お前、まさか飛行機乗れないのか?」

「えぇ……ビザがないもの……誰かのジェット機や貨物船に乗り込んでも、バレたら面倒で問題になるし……」

「あぁ……なるほど……ところで、どうして日本人を?」


目の前の女性は少し間を開け、扇子を閉じて考える仕草をしてこう答えた


「日本人が、魔力との融合指数が高く、日本人がを知ってると思ったから」

「アレ?アレってなんだ?」

「まぁ、後で教えるわ、転生記念の能力……あれば、直接行けたのに……」

「おいなんだそれ?」


目の前の女性は少し、ていうかかなり動揺して閉じた扇子をもう一度あおいだ


「え、えーと……この世界に転生したら記念に渡される、能力、前の世界ではゲームでいうアビリティとかスキルみたいなものよ」

「炎を出したり雷落としたりとかか?」

「えぇ」

「あなたは、死んで生き返った影響で、能力が得れなかったのよ……代わりに、その膨大な魔力を手にしたけど、後から能力の習得、さっき貴方が言ったような、炎出したりするのかね、あれは、多分習得できると思うけど」

「それ、本当か?」


(それじゃあ、転生した意味はある……窓から見るにこの世界の文明レベルは現代の日本やアメリカよりかなり遅れてる……研究しようとしても、ろくな機材がないから……)


「ま、まぁ?まだ分からないわよ?先天性の方がいい能力だけど、人から能力を譲渡とか?コピーとか?すれば?」

「お前」

「は?」

「お前の能力、寄越せ」


芹亜の目の前の女性は、突然そんなことを言われてしまい、目を大きく広げて驚くのであった

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