第2話
まとわりつく喧噪を置きやり、忠義は人でごった返す東京駅を足早に歩く。
混み合ったエリアを素早く抜けて、あっと言う間に新幹線乗り場までやって来た。
忠義は指定席の座席番号を確認して目当ての車両に向かい、慣れた様子で東北新幹線に乗り込む。
今日、大分久方ぶりに急遽有給休暇を取ったのは、妻と義母に会いに行く為だった。
しかし、久し振りの再会が目前だというのに、その表情は暗い。
事の発端は、昨夜だった。
突然まことから電話が掛かってきたかと思うと、耳を疑う事を言われた。
“クロをおばあちゃんとお母さんに紹介してくるね”
それを聞いた瞬間、忠義は凍り付いていた。
そんな事など知らないまことは、自分の要件を簡潔に話す。
明日の学校帰りに行ってくると言ったのだが、それすらもまともに耳に入らず、ちゃんと理解したのは電話を切った大分後の事だった。
学校帰りに、青森まで行く。
違和感しかないその発言の真意が分からずに、我に返った忠義はすぐさま政道に電話を掛けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます