第4話
高校に入学して間もない頃から、まことはいじめられていた。
きっかけは、ほんの些細なことだと思う。
たぶん、遊びの誘いを断ったとか、気に入らない態度をとってしまったとか、おそらくそんなところだ。
自分の記憶にすら残らない程度の出来事が、いつも最悪の事態にまで発展してしまうのだった。
クラスメイトの村上がくすくすと笑っている。
また同じクラスか、とまことは内心で残念に思う。
彼女がやったということは既にわかっていた。
実際に手を下しているのが彼女かはわからないが、首謀者は彼女だと確信している。
それは、これまでも教科書を破かれたり、体操服を隠されたり、誹謗中傷を受けたりと様々な嫌がらせを受けてきていたからだ。
それでもまことは、さして気にすることもなく自分の机の行方を探した。
見回せば教室の隅に机と椅子がいかにも蹴り倒されたような形であった。
まことはそれを起こし、自分の席があったであろう場所に運ぶ。
まずは机を両手で持ち上げて運んでいると、足元に何かが引っかかった。
まことは体勢を立て直すこともできず、激しい音をたてて机と共に転倒した。
誰かの足が自分の足を故意に引っ掛けたようだ。
幸い怪我はしなかったが、笑いを必死に堪える村上を見れば、気分は落ち込んだ。
今日も憂鬱な一日が始まる。
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