第86話

「おはよう」




声に顔を上げると、洋食屋さんの奥さんが笑顔で立っていた。




「おはようございます」




どうやら買い物に行っていたようで、その量腕には重そうなビニール袋が下がっていた。




小柄な奥さんは華奢そうに見えて意外と力持ちらしい。


素敵。




「安かったから買いすぎちゃったの。よかったら貰ってくれる?」




私が何か返事を返すよりも早く、そう言って手渡される人参。


葉っぱもついたままのそれは新鮮で瑞々しくて、オレンジ色がとっても綺麗だった。




「おいしそうですね。ありがとうございます」




生でも甘くて美味しそうだけど、明日のお菓子にキャロットケーキしにしようかな。


そんなことを考えながら、頭を下げてありがたく受け取った。

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