第49話

「じゃ、いくね。また来るよ」


「はい。お待ちしてます」




どっこいせと荷物を担ぎ直してから小さく手を振って、知佳さんは自分のお店に帰っていった。




そうだ、あとで差し入れにマカロンを持っていこう。


私はそんなことを決めながら、ぱたんとドアを閉めた。






知佳さんが帰ってしまうと、カズさんはあからまさに残念そうな顔をした。




夏にもなればライフセーバーまで勤めるらしいカズさんの人気っぷりはけっこう凄い。




だから、普段はモテモテの姿しか見たことないんだけど、


そんなカズさんは知佳さんが好きだったりする。




それは近所中で有名な話で、まだここの住人になって数ヵ月の私でさえも気付くほどに、カズさんは至ってオープンだった。




知佳さんを見つければ必ず声をかけてるし、食事や映画に誘ってるのも何度か目撃したことがある。


他の女の子には見向きもしないで、カズさんは知佳さんにアピールしてた。

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