第2話

「ただいまー」




靴をぽいっと脱ぎ捨てて、家に入る。


まだ制服には慣れなくて、動きにくくて仕方ない。




そんなことさえだるいと感じる自分に溜め息が出た。




「おぅ、お帰りー」




いつもなら聞こえないはずの声が聞こえた。


顔を向けると母さんの母さんであるばぁちゃんが出迎えてくれていた。




「なんだ、ばぁちゃん来てたんだ」




スパコーン!!




目の前に星が飛んだ。




「いってぇぇえ!」




ばぁちゃんの鉄拳が後頭部にメガヒットして、あまりの痛さにその場を転げまわった。




「今、なんてった?」




ばぁちゃんの冷たい声が降りかかる。




「……っ!」




なんで、自分のばぁちゃんをばぁちゃんって呼んで殴られなきゃなんないんだ。


訳わかんねぇ。




俺はむくりと起き上がるとキッとばあちゃんを睨む。


そして、




「クソババア!」




捨て台詞を吐いて、外へ逃げ出した。




玄関ドアの向こうでばぁちゃんは鬼婆みたいに叫んでる。


俺は聞こえないふりで家を後にした。




あーあ。


つまんねー。

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