死にたくなければルームメイトは同種族をオススメします!

汐空 綾葉

第1話『ルームシェア』

 俺の名前は多田野ヒトシ。東京の某大学に通っている大学2年生。フツーの人間だ。んで、こっちが熊野ヒグマ。日熊の獣人族だ。こいつもフツーの、同じ大学の同級生。

 入学してからずっと仲良しで、今度12月から、ルームシェアを始めることにした。今は不動産屋に手続きをしに来ている。

「こちらの物件でお決まりですね?」

「はい。いいよな、熊野?」

「おけおけ」

「かしこまりました」

 不動産屋さんが諸々の手続きを済ませて、改めて物件へ案内してくれた。

「ここでお間違いありませんか?」

(東京都、○○区、■■番地、△△アパート。ここだ)

「はい。ありがとうございました」

 では、と不動産屋さんが帰ろうとしたところで、ギュンとUターンして来た。

「すみません。これは一個人としてなんですけど」

「なんでしょう」

「やはり、ヒト族のあなたも、獣人族のあなたも、ルームメイトは同種族をオススメします!」

(おっきい声…。告白かよ)

 そう思った矢先、不動産屋さんが一言サラッと付け加えた。

「—死にたくなければ」

「え」

 熊野も俺も。2人揃ってフリーズした。

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