第5話

浅黄城の地下に有る牢屋




此処に幽閉されている

者達は皆


死んだように

表情がないのに、



目の前のこの女の顔は

この前見た時と変わらず

生き生きとしており、


とてもふてぶてしいと、


成光は腹でそう愚痴る





「北和国はどうなったのさ?」



その松の問い掛けに、


成光は鼻で笑う




その成光の反応に

松は不安を顔に滲ませる




きっと、この女は

北和国が敗れたと

誤解しているのだと、


成光は思った




こんな時に笑っていられる

自分が

おかしいのだろう――




精神的に参りすぎているのか、


泣けないのならば

もう笑うしかないだけだ

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