第285話

あれ以来、刑事達は

私の元へと来ない




その代わり、テスト最終日



校門を出る時に、

愛美の両親とすれ違った



私は直ぐに逃げるように

目を逸らし、

俯いた





私は少し歩くと、

その二人をゆっくりと

振り返った



二人を見ていると、

胸の中が潰されそうに

痛くなった



二人が、

本当に愛美の両親かは

私には分からない



私は、愛美の親を

見た事ないからだ



だけど、母親だと思う

女性の顔は、

愛美ととてもよく似ていて



なによりも、

二人の目は

とても腫れていた



きっと、娘が心配で、

毎日泣いているのだろう



愛美の両親の目は、

私なんかよりも

ずっと赤く腫れていた

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