第90話

「そうか。

涼は頭いいから大丈夫だとは思うけど、

授業中はもう少しちゃんと先生の話聞いてた方がいいと思うよ。


はいっ」



咲は俺の机に、

自分のノートを開いたまま置いた





「えっ?」



俺は戸惑いそのノートと、自分の何も書かれていない、

ノートの真っ白のページを見た



そして、黒板に目をやると、

誰かが黒板を消していた





「サンキュー…」



俺がそう言うのが聞こえたのか分からないが、


咲は立ち上がり、

一度俺を振り返り笑うと、

田中の席に行ってしまった



もう昼休みみたいだ



周りがザワザワと騒がしい






咲のノートに目をやり、

丸い柔らかい咲の字を見ていると、

少しずつ心が落ち着いた

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