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芽衣は真冬の机のところまでやってくると、「話があるの。ちょっときて」と言って、真冬の返事も聞かないまま、真冬の手を取ると、そのまま唖然とする真冬のクラスメートたちの視線を横目に、早足で歩いて教室から出て行った。
ばん! と言う音がして、ドアが閉まり、二人の姿がなくなった瞬間、教室から大きな歓声が上がる。
「え!? なになに? 告白!?」
「マジで! だって相手は柊木だぜ!?」
「いや、確か、あの二人さ。一年のころは確かすごく仲が良かったはずだよね? つまり、そういうこと!?」
そんなクラスメートたちの興奮した声が聞こえる。
廊下に出た芽衣は、そんなことはまったく気にしないで、そのまま移動の速度を落とさずに、真冬の手を引っ張りながら、廊下を階段のほうに向かって歩いていく。
芽衣は階段を下にではなく上に上がる。
どうやら芽衣は屋上を目指しているようだった。
「早乙女さん。手、離してよ」
真冬は言った。
場所は屋上に続くドアの前だった。
芽衣はちらっと真冬の目を見てから、ずっと握っていた真冬の手を離すと、それからドアを開けて屋上に移動した。
真冬もそのあとについて移動する。
空は晴れていて、屋上にはとても気持ちのいい風が吹いていた。
この場所でお昼休みの時間を過ごしている生徒たちも何人かいる。
芽衣と真冬は屋上の隅っこのほうにある人気のない場所まで移動した。屋上にいた数人の生徒たちも、二人の雰囲気を察して、少し離れた場所に移動してくれた。
学校の屋上には大きな緑色のフェンスがあった。
芽衣はそこからフェンス越しに街の風景を眺めた。
真冬は、街ではなく青色の空を見ていた。
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