第2話 いつも通りの自宅
下校時間になり、俺は帰宅した。
夕飯を食べ、入浴をすませる。
自室にて宿題が終わり、さて自由時間というところで、俺は部活でやっていた次に描く予定のストーリーを考える。
淳との共同制作の漫画は俺がストーリーを考えてそれを部室で二人で執筆という形だ
LINEで次の話について相談しながら一緒に考える時もあるが、大筋を考えるのは俺である。
俺は机にノートを置いて考えた。
登場人物の外見のざっとしたラフ画を描いて、肝心のどんな話にするかを考える。
これまで読んだ漫画やラノベ、アニメにゲーム。そういったものから着想を得て話を考える。ファンタジーもので王道なのは何だろうかと。
「そうだ。やっぱ王道と言ったらこれだろ」
俺はノートにペンで文字を書き込んだ。
『勇者が魔王に攫われた姫を助けに行く』
これはゲームなどでもお馴染みの定番ものだろう。
主人公が勇者で攫われたヒロインである姫を助けに行く。昔からゲームでも定番だ。
やはり展開的にはこういったものを主軸にした方がいい。
「王道だからこそ、捻った展開を作るのは腕の見せ所だな」
こう言った基盤のある物語はただありきたりな話を描くのではなく、王道だからこそそれをどう斬新なスタイルで見せるかだ。
定番ものなら、どうやって勇者が姫を助けに行くのか、その途中でどんな冒険での出会いがあるのか。戦いはどんな感じになるのか。そしてどんな展開を迎えるのか。
「ただのありきたりなイベントが起きるだけじゃダメだな。何かひねった展開がないと」
俺はこれをどういったストーリーにするかを考える。
ふと部室で淳が言っていたことを思い出す。
「もしも異世界転生が本当にあったら」と。
俺はこういった話を描くのは好きだ。現実ではあり得ないからこそ、フィクションにロマンがある。作り話だからこそ面白いというものだ。
しかし、もしも本当にこんな話が起きて、自分がその身を経験することになったら。
「俺だったらもしも異世界にでも転生して勇者として生きるんだったらどうするんだろうな」
そんなことを考える。そういった「もしも」がまた創作のアイディアになったりするのだ。
「ふむ。とりあえず色々考えてみるか」
俺は次に描きたい話の候補を紙に書き起こした。
『勇者が魔王を倒しに行く話。それを何かひねった展開にしてオリジナリティを出す』
「それじゃこれを明日は淳と考えよう」
俺が考えをまとめた時、部屋にカラカラという音が鳴り響いた。
「お、起きてきたか」
俺は部屋の隅に置いてあるものを覗き込んだ。
部屋の隅には小動物用のゲージが置いてある。鳥かごのような金網の箱の中でハムスターが回し車で走っていた。
ペットのハムスターであるモモ太だ。
従姉妹が飼っていたハムスターが子供を産んだので引き取って欲しいと言われ貰ってきたのである。
ハムスターは雄と雌を一緒に同じゲージで飼育してると子供が生まれることがある。
ハムスターはネズミの仲間なのでたくさん子供の産むことが多いのだが、その時に生まれたハムスターは生まれたのは二匹だった。
従姉妹がそのうちの一匹のメスを「モモ子」という名前にしたからその兄弟ということで「モモ太」と名付けた。
ジャンガリアンハムスターでグレーの毛色に背中の黒い筋の模様が特徴だ
モモ太は通常のジャンガリアンハムスターよりも少し体が大きい、雄だからだろうか。
まあそれでもやはりペットとして飼っていると愛着も湧くのである。
モモ太は俺がゲージを覗き込んでいるのに気がつくと、回し車で走るのをやめてモモ太は俺がいる方角のゲージの網をガジガジと齧り出した。
「わかったわかった。今やるから」
モモ太がこれをする時はおやつが欲しい時だ。
餌は常に餌箱に入れてあるが、ハムスターはおやつを欲しがることがある。
そういった時はひまわりの種や小動物用ビスケットを与えたりするのだ。
俺はゲージの横にある箱から小動物用の乾燥ビーフを一つ出した。
それをゲージの網の隙間から中に投げ込むと、モモ太はすぐに駆け寄り、小さな手で掴んで齧り付いた。
こうしてハムスターが物を食べているのを見る時は確かに可愛い。
小さいのにきちんと手で持って、それをもふもふと食べるのだ。
一生懸命齧りついて乾燥ビーフの形が小さくなると、残りはぱくり、と頬袋に詰め込んでモモ太は巣に戻っていった
ハムスターというとひまわりの種や野菜に果物などが好物な草食のイメージがある。しかしモモ太は乾燥ビーフが好きなのだ。
ペットフードに小動物用の乾燥ビーフが売ってるくらいなのでハムスターも肉を食べるのだろう。草食かと思いきや意外と雑食である。魚の煮干しが好きなハムスターもいる。
モモ太は肉が好物だからハムスターの標準サイズよりも体が大きいのだろうか。きっと栄養が身体中にいきわたっているのだろう。
なんだかんだハムスターは確かに癒されるのだ。
同じ部屋にゲージを置いておくと、回し車の音で夜中に目が覚めることがあるのは辛いが、常に飼い主のそばに置いておいた方が様子を見るのにはいいのだ。
こうしてモモ太の様子を見ると、俺もそろそろ就寝することにした。
「さて、寝るか」
俺は布団に入って目を閉じだ。
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