甲虫の独り言
@kai-mizuki
1. あたくしの話を聴いてくださいませ
あたくし、甲虫のメスでございますの。これを読んでいる貴方、甲虫に興味が御座いまして?あたくし達の儚くも壮大な一生をご存知かしら?
あら、ご存知…
あら、ご存じない! 笑笑笑
それなら、語っちゃいましょうかしら❤️
あっ!でも、興味のない方は、ここでお読みになるのを辞めてしまっても宜しくってよ。
あたくし達甲虫は、卵として産み落とされてその生を全うし、命尽きる迄の一生の時間は凡そ一年。そして森の土になるの。
土、そう、土! 素晴らしいわぁ❤️
…泣泣泣…
あたくし、森の甲虫ではございませんの…
飼育箱育ち。ハァ…
あたくし、命が尽きた後のことが気掛かりなのです。叶うことなら、土に還り、生命の循環の輪の中に取り込まれたい!そのように望むことは贅沢かしら…?
…
少し話が逸れてしまいましたわね。気を取り直して、お話させていただきますわ。
あたくしが卵から孵化する頃にはお母様は既にこの世を旅立たれた後でございました。あたくし達昆虫類の多くは、一部の例外を除いて孵化して直ぐの頃から自力で生きていくそうなのです。
でもね、お母様達に愛情が無いなんてことは決して御座いませんのよ。お母様たちは、我が子が困らないような適した環境を選んで卵を産んで下さいますの。
あたくしの場合も、飼育箱の中ではありましたけれど、箱の中の出来るだけ底の端の方で丁寧に固められた土の中に産んでくださいました。
お母様の愛で守られている土の中では、安心して孵化の時を待つことが出来たので御座います。
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