冴えない彼女の育てかた 渚のアイドルSOS

森康雄

第一章 プロジェクトの発表

「みんな、集まってくれてありがとう。今日は大切な話があるんだ」と倫也が教室の一角で声を上げる。


 恵は倫也の隣に座り、周りを見回しながら「どんな話?」と興味深げに尋ねる。


 倫也はにっこりと笑いながら、「実はね、これからの学園祭で、恵をアイドルとしてステージに立たせたいと思ってるんだ」と熱意を込めて説明する。


 恵は驚いた顔をして、「えっ、私がアイドル?」と目を丸くする。


「そうだよ、恵。君の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいんだ。これはチーム全員でサポートするプロジェクトだから」と倫也が力強く言う。


 英梨々が少し不満そうに「アイドルって、ちょっと。」と言いかけるが、詩羽が割り込んで、「面白そうじゃない? 恵が輝ける場所を作るのも、私たちの仕事だよ」と笑顔でフォローする。


 出海は「デザインは任せて! めっちゃカッコいい衣装を考えるから!」とワクワクしながら言い、美智留も「音楽も最高にするよ。恵のためなら夜通しでも作業する!」と熱く語る。


 恵はみんなの熱意に圧倒されつつも、「みんな、ありがとう。頑張るから、応援してね」と嬉しそうに笑う。


 倫也は全員に向かって、「じゃあ、これからの数週間は大変だけど、恵をスターにするために一緒に頑張ろう!」と呼びかける。


 クラスメイトたちは一斉に「うん!」と返事をし、新しいプロジェクトのスタートに胸を躍らせるのだった。


 倫也がホワイトボードに向かって「それじゃあ、役割分担を決めようか」と提案する。


 恵は手を挙げて、「私はアイドルとして何をすればいいの?」と尋ねる。


「まずは、歌とダンスの練習から始めよう。毎日のレッスンが必要だよ」と倫也が答える。


 英梨々が「私はキャラクターデザインとビジュアル面を担当するね。恵の魅力を最大限に引き出すような衣装とビジュアルを考えるよ」と力を込めて言う。


 詩羽は「シナリオとステージのストーリーテリングは私がやる。恵のパフォーマンスに深みを与えるための物語を作るわ」とノートを取りながら説明する。


 出海は「ポスターや宣伝素材のデザインは私が担当するね。学園中に恵の魅力が伝わるように、すごく目を引くデザインを考えるよ!」と元気よく話す。


 美智留が「音楽は私が見るから、安心して! 最高の曲を用意して、恵の声に合わせるから」と笑顔で言う。


 倫也が最後に「僕はプロジェクトの全体を管理するよ。みんなの進行を調整して、問題があれば解決する。そして、最終的にはこのビーチフェスティバルを成功させるんだ」と宣言する。


 恵が「みんな、本当にありがとう。こんなにサポートしてもらえて、幸せだよ」と感謝の気持ちを表す。


「では、これからの準備期間、お互い協力して頑張ろうね!」と倫也が全員に呼びかけ、一同が元気よく「はい!」と力強く返事をする。役割が決まり、チーム一丸となってプロジェクトに取り組む準備が整ったのだった。


 倫也がミーティングで「今日はポスター制作のアイデアを固めよう」と提案する。


 出海が「恵ちゃんの魅力を前面に出すために、どんなポーズがいいかな?」と皆に質問する。


 恵は少し照れくさそうに「えっと、自然体でいいかな? そんなに構えるのは恥ずかしいかも」と答える。


「それがいいね! 恵の自然な笑顔が一番。それにすごく明るい背景で、ビーチの元気な雰囲気を出そう」と出海が熱心に説明する。


 英梨々が「衣装はどうする? 海っぽいブルーやホワイトを基調にして、カジュアルながらもちょっと特別感のあるものにしたい」とデザイン案を提示する。


「英梨々が提案した衣装で、恵が持ってるアクセサリーとか小物も使って、よりパーソナルな感じにできるかも」と詩羽がアイデアを追加する。


 美智留が「音楽はどうする? ポスターにQRコードを入れて、スキャンすると恵のデモソングが聴けるようにしよう」と提案する。


 倫也が「それはすごいアイデアだね! ポスターから直接恵の声が聴けるなんて、注目されること間違いなし!」と喜ぶ。


 全員がアイデアを出し合い、最終的には恵がビーチに立つ姿を背景にした、明るく活動的なデザインに決定する。


「じゃあ、このデザインで行こう。出海、英梨々、頼んだよ」と倫也が二人に制作を依頼する。


「了解! 恵ちゃんを最高に輝かせるポスターを作るね!」と出海が元気よく答える。


 こうして、彼らはポスターの制作に取りかかる。このポスターが後に大きな騒動を引き起こすとは、まだ誰も知らないのだった。


 学園祭の前日、倫也と恵がポスターを掲示板に貼り出す作業をしていた。


「これでいいかな?」恵がポスターを確認しながら倫也に尋ねる。


「ばっちりだよ! これを見たら、きっとたくさんの人が恵のパフォーマンスを見に来てくれるはず」と倫也が満足げに答える。


 しかし、次の日の朝、学校に到着した倫也たちは、ポスターが何者かによって引き裂かれているのを発見する。


「えっ、どうしてこんなことに!」恵がショックを隠せない様子で言う。


 倫也がすぐに「落ち着こう、恵。カメラがあるから、誰がやったかすぐにわかるはずだ」と彼女をなだめる。


 二人は急いで監視カメラの映像を確認すると、画面には学校一の人気者、紅坂朱音がポスターを破る様子が映っていた。


「朱音さんが、なぜ?」恵が混乱しながらも疑問を口にする。


「わからないけど、これはただのいたずらじゃないかもしれない。何か理由があるはずだ」と倫也が真剣な表情で言う。


 彼らはこの問題を解決するために、まずは紅坂朱音に直接話を聞くことに決める。


「僕たちだけで決めつけないで、一度彼女の話を聞こう。事情があるかもしれないから」と倫也が提案する。


 恵も頷き、「うん、そうしよう。でも、正直、ちょっと怖いな」と不安な気持ちを吐露する。


 こうして、倫也と恵は朱音に事の真相を問いただすため、彼女を探し始める。ポスター破壊事件の背後に何があるのか、二人はまだ知らない。

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