オレは、別れて寂しくなったヒロミにとって単なるつなぎ役にすぎなかったのだろう。

 それでもオレを軽く扱った彼女よりも、おめでたい頭をしていた自分を責めた。

 そのせいで、同じことを何度も繰り返した。

 そして幾度も、今度こそオレに目を向けてきたのだと信じていた。

 やがて、さすがに目が覚め、それからは連絡手段を遮断したつもりだったが、こうしてまたもや彼女はオレの前に現れたのだった。


 どうせ情報源は、佐々井辺りだろう。

 旧友の彼とは池袋辺りで、ごくたまに会って飲んでいる。

 決して悪い奴ではないが、人の好すぎるところがある。

 ヒロミが困ってみせると、彼も放っておけなくなったのだろう。

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