#6.ギルドとは?
「夢……ではなかったようじゃな」
暖かな朝日が瞼を優しく撫で、闇に閉ざされていた視界を暖色へと染め上げる。一途の思いで開眼するがその景色は昨日と変わりなく、複雑に絡み合い多少の湿気を持つ
しかし、その神秘的な景色は現在の
重くなった体と心を引きずり、一階に降りるとエプロンを着けた姉、『
「おはよう!
誰よりも遅く就寝し誰よりも早く起床しているのにこの笑顔と料理の出来栄え。長年この習慣を繰り返していることが見てわかる。やはり母親を早くに失っているのだろうか。
「兄はどこへいったの?」
そんな
「あぁ、
「ギルド?」
生前に聞いたことがある。国の郊外に広がる広大な自然には薬草や鉱石などの物資や様々な魔物が生息している。ギルドに所属している人間はそんな魔物を狩ったり、薬草や鉱石などの物資を集めたりすることで『クエスト』をこなすのだ。クエストの達成報酬で生計を立てている者も少なくない。しかし、高難易度のクエストは通常のクエストに比べ報酬が高い。そのため実力に合っていないクエストを受注し命を落とすものが多く『ランク』が制定されたとか。
また、国や学園と協力し、『派遣』といった形で国内外での戦闘や研究、救出活動をしている。国や学園とは異なる一つの戦力だ。
「
「
突然の言葉の詰まりに
「……もしよかったら何か思い出すかもだからギルドに行ってみて」
大切な家族が記憶を無くしてしまい共に過ごした時間を全て忘れてしまったとなったらどう思うだろうか。喪失感、寂しさ。推し量ることが出来ない程の感情や思いがあるだろう。
出来なかった。 騙しているという罪悪感に襲われたが、ワシには
「もうお主の大切な妹は居ない」
この一言を伝えることは出来なかった。
****************************
便利な世の中になったのぅ。まぁ六日後への転生なので、ただ単にワシが時代に置いてかれていただけなのじゃが。
「……この服装は落ち着かぬのぅ」
初めて女性用の洋服に身を包んだ
「平和になったのぅ」
魔王討伐以前、城下町に活気はなく街並みも殺風景であった。国が魔族に脅かされていた時代だ。
そんな街は現在『城下町』という名称が合う場所へと変貌していた。屋台や露店が並び食材、菓子、武器、防具、玩具など様々な商品が売買されている。
会話と笑顔が絶えない国風。
まさに、
だが、全ての人を救済できた訳ではない。それを証明するかのように路地裏から回折した男たちが揉める声が
「放っておけないのぅ……」
音波の震源となる暗く汚れた路地裏を
するとそこにはいかにも柄が悪い三人の大男と気品のある格好をした少年がいた。
【錬成:凍結】
能力を使用し【凍結】の能力を作り出す。
「ひぃぃぃ!! ごめんなさい!!」
「出すもん出せって言ってんだろ? 殴るぞ?テメェ!」
「お前兄貴舐めてったら怪我すんぞ!!」
兄貴と呼ばれた大男が拳を振り上げ少年に照準を定める。その刹那、
「さみっ!! なんだ――」
「あに―――――」
「ぎょええ――――っ!」
「お主、大丈夫じゃったか?」
しかし、予想に反し少年は両手で
反応が遅れた
「なん……じゃ」
その少年の表情は先程とは異なり狂気に侵されたものと変化していた。その表情に
「あ、あ、あ、貴方は! なんて名前!? 何が好き? 僕なら何でも君にプレゼントいける!! その、連絡先! 交換しよう!? 今から! 暇!?」
少年の狂気的な好意に生前では感じたことの無い恐怖に襲われ反射的に彼を大男たち同様に凍てつかせた。
「はあ……はあ……な、なんじゃ? こやつは」
突然の出来事に完全に腰が抜けてしまった
ただのナンパ目的ではない。何か『狂』を感じるその変わり具合に恐怖と共に自身の風貌を再認識した。
************
時間が経ち、先に少年の氷が解凍した。状況を読み込むと瞬時に辺りを見渡し、
「はあ……! あの子は!?」
いないか……。なあ、父さん僕も見つけたんだ。
運命の人を……!!!!
************
マップに従い歩みを進めると『ギルド』が姿を現す。完全に街並みに溶け込んでいる開放的な場所だ。石造りの入り口に入ると正面奥の右には酒場が広がり右手には武具、回復薬など戦闘に必要な物資を購入することができる商店が並んでいる。左手にはエル字で奥まで伸びる受付カウンターがある。正面奥には大きな板があり、そこには沢山の紙が貼られていた。恐らくは『クエストボード』だろう。
城下町と遜色ない程に賑わっている。老若男女が入り乱れている。見た事も無いような武具も身につけている者も見られた。
(なあ……あの子……やばくね?)
(おい! 指さすな! バレたらどうすんだよ!)
(パーティー組んでないなら誘っちゃおうかな?)
(やめとけ、ありゃ高嶺の花だ)
(黄金色の髪! しかもサラサラね、私話しかけちゃおうかしら?)
(あの髪色にオッドアイって、どんな確率だよ!)
(あんな子いた?)
(黄金色で霊峰学園の生徒さんはいたけど……オッドアイだったかしら?)
「……?」
静まり、チラチラと
本来、ギルドで行うクエストでは『パーティ』を組み行う。しかし、
クエストボードに進み、ある程度の難易度と報酬のクエストを探す。クエストは紙に記されその紙がクエストボードと呼ばれる板に貼り付けられている。その紙を取り受付へ行き受注。そしてクエスト達成の証拠となるものを渡し報酬を受け取るのだ。またモンスター討伐によって手に入る素材は自身の懐、もしくはギルドで売るという選択肢もあるようだ。
数分間クエストボードと睨めっこすると良さげなクエストが目に入った。
(あの子、初めてなのかな?)
(俺なんかが話しかけたら嫉妬買いそうでいけねえよ)
(む~って顔してて可愛い)
**********
フレイムグリズリーの討伐
採取部位:爪
報酬:100,000$
推奨階級:B
人数:四人以上
**********
「ん……んぬ……届かないのぅ」
フレイムグリズリー討伐のクエスト用紙は
(ねえ見て! ぴょんぴょんしてる!)
(動画だ動画!)
(無駄にでかいんだからお前いけよ!)
(いやお前が行けよ!)
「ぬう……」
フレイムグリズリー討伐のクエスト用紙に
「嬢ちゃん大丈夫か? このクエスト……フレイムグリズリーじゃないか」
礼を述べ、用紙を受け取る。角度が浅くしっかりと用紙を確認できなかったため、見直すと四人以上のパーティで無ければ挑戦出来ないことが発覚する。
「受注しようかと悩んでいたのじゃが、どうやら人数が足りないようじゃ」
元に戻せと言わんばかりの厚かましい態度で男に用紙を向ける。するとその男性は嫌な顔一つ見せずに言葉を口にする。
「人数? それなら、俺らとパーティを組んでこのクエストを受けないか?」
ランクBがどれ程の実力を必要とする階級か定かでないがフレイムグリズリーにこの言いぶり。かなりの実力者じゃろう。ならば答えは。
「是非とも頼む。 ワシの名前は
「承知した。俺は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます