邪竜

 流石にあの水の一件はレーヴたんからも怒られた。反省。

 そんな僕は大人しく、再び自分の配下を増やすための活動を始めていた。


「ここら辺かな?」


 僕が集める魔物たち。

 それは意思を持っている強力な魔物であることが大前提……今、数を増やしたところでそれを収容するためのスペースがないから、少数精鋭を目指すしかないでしょう。

 まぁ、そうそうそんな強い魔物を見つけることなんて出来ないわけだが、そこら辺に関してはリュース王国が何とかしてくれる。

 彼らの歴史が積み重ねた歴史の中には強力な魔物の記録というものがかなり残っていた。

 

「……あった」


 その記録の中の一つ。

 それを辿って僕は人里離れた山奥へとやってきていた。

 この山奥に、強力な魔物がいるという記録がリュース王国の古い文献に残されていた。


「……いけるか?」


 とはいえ、基本的に過去、対処できずに封印していた強力な魔物なども、人類の戦力が極まったようなタイミングで討伐隊を組み、その数を減らしていっていることもあり、その数はほとんどない。

 ちょうど、僕よりも弱いだろうなという魔物も中々おらず、基本的に格上と思われる魔物ばかりだ。

 だからこそ、例え目の前に壊せそうな封印があったとしても、そう簡単に解くわけにもいかない。僕が勝てず、世界が破滅する。そんな可能性だって十分にあった。


「……いけそう」


 ただ、それでも割と勝算を持っている僕は怖いもの見たさも含め、魔物が封印されている地点へとやってきていた。


「お邪魔します」


 そんな僕はそのまま、封印を壊すことなくその中へと入っていく。


「……くっら」


 自分が今回入った封印の中は真っ暗な空間だった。

 そこを僕は進んでいく。


「……わぁーお」


 しばらく歩いていると、僕の視界に紫色の淡い光が映り始め───その奥に、一匹の竜がいた。

 相手の姿を見た瞬間、僕はまず鑑定をかける。

 


 ◆◆◆◆◆


 名前:なし

 種族:創世邪竜

 レベル:124/

 ランク:S

 称号:『破滅の主』『神敵』


 攻撃力:4874

 防御力:4187

 魔法力:3678

 俊敏性:4529


 固有スキル:

 『邪竜のブレス』


 ???スキル:

 『???』


 オーサムスキル:

 『運命者』『豊穣者』


 無効スキル:

 『状態異常無効』『精神攻撃無効』

 

 耐性スキル:

 『物理攻撃耐性』『魔法攻撃耐性』『自然攻撃耐性』『神力耐性』


 ◆◆◆◆◆



 ただ、相手は思わず僕が鑑定をかけたことを後悔するくらいにはとんでもないステータスをしていた。こちらの鑑定にも一部抵抗しているのか、判然としない部分だってある。

 流石に、……流石にちょっと格が違う。

 これはちょっと不味いかも。僕が思っていたよりも───。


「……人の子、か?」


 僕は思わず頬を引きつらせたところで、自分の前にいる相手の竜が口を開く。


「……そうだと、言ったら?」

 

 何時でも逃げられるようにしておこう。

 最大限の警戒でもって、相手の次の行動を僕は待つ。


「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおんっ!?人じゃァァァア!」


 そんな僕の前で、目の前の竜はその瞳から大粒の涙を流しながら吠える。


「……ッ!?」


「我、我、我……ずっと寂しくてぇぇぇぇえええええええええええええええっ!?」


「……ほぇ?」


 そして、寂しいのだと叫んだ竜を前に、僕は何とも言えぬ声を漏らした。

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