あの日見た君はまるで…
floud
1話
6月末のある日 とある高校
「あ、傘なくなってる」
傘置き場を見てそんなことをひとり呟く
折り畳み傘を買おうかなと思っていると
「いや〜ごめんな、1時間も付き合わせてしまった。何かお礼をさせてくれ」
先生が戻ってきた
6限が終わり帰る準備をしている時に仲の良い先生に倉庫整理の手伝いを頼まれて手伝っていたのだ
「今日は何も予定がなかったので大丈夫です」
「とは言ってもだな…ってもしかして傘を取られたか?」
傘置き場を見た先生が言う
「持って来たんですけどね」
「はぁ、たまにいるんだそういう奴」
「ですね」
賛同していると先生が少し考え始め
「
「いいですけど?」
そう返すと先生は急足でどこかに行ってしまった
小説を読んで待っていると先生が帰って来た
「これはお礼だ、貰ってくれ」
そう言ってビニール傘を差し出して来る
「わざわざ傘を買いに行ってくれたんですか!」
「お前は言っても断るだろう?だから買ってきた」
この人には敵わないなと思いながら受け取る
「ありがとうございます。ありがたく使わせて頂きます」
そう返すと嬉しそうに
「気をつけて帰れよ」
そう返してくれた
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そうして学校を出て徒歩で帰路に着く
「うわ、水たまりやばいな…」
いつも通る道に大きな水たまりができていて車が通るたびに水が飛ぶのが目に入る
「そういえば確かこっちからでも帰れるって言ってたっけ」
友人の言葉を思い出し、いつもとは違う道に入る
少し進んでいると知っている場所に出る
「なるほど、ここに出るのか。あの道より家に近いな」
いつもの道だと25分かかるがこの道だと数分早く帰れることに気づき友人に心の中で感謝する
しばらく歩いていると公園が目に入る
「あそこを曲がって少し進めばいつもの道か」
そんなことを呟きながら曲がるとふと人影が目に入る
制服から同じ高校の女生徒であることはわかったが傘をさしておらず雨で濡れていることは想像にたやすかった
「家まで近いのかな?」
そんなことを思っていると突然フラフラしだし女生徒が倒れた
「っ!」
急いで駆け寄り声をかける
「大丈夫ですか!」
顔を覗き込んで驚くなぜなら
「
クラスメイトの
「天風くん?」
「そうだよ、大丈夫?立てる?」
手を取って支えながら立ち上がるのを手伝う
「ありがとう」
そう言われるが疑問に思ったことを質問する
「そっか、ところでどうして傘もささずにこんなところに来てるの?」
以前見かけた時にはこっちとは真逆に帰っていたのだ
「用事」
「用事?傘もささずに制服のままで?」
「今日は家に帰れないから泊めてもらう」
「誰に?」
「知らない人」
「ダメだよ⁉︎」
「でも泊まる所がないから」
どうしようか考えて考えた結果
「なら今日泊まる?」
そんなことを言ったのだった
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