第7話 お風呂に入ろう 後編

 あっかんなんでこんなに魅力的なんや椿。体型ほぼ冬華と変わらんはずやのに……歳か?やっぱ歳から来る色気が原因なんか?


「……失礼なこと考えられてる気がするのじゃ」

「……はははまさか。ほらじゃあ洗っていくんで目瞑ってください」

「ん」


 どうにか体から視線を外しながら冬華にしたように椿の髪を洗っていく。


 冬華と違い椿には角があるから慎重にだ。何かあったら良くないからな。……てかなんか赤くない?気の所為?角白色じゃなかった?


「椿ー?」

「んおっなっなんじゃ?」

「これ角って感覚通ってんの?」

「……えっち」

「なにがや」


 えっちって言われるような質問しとらんやろうが僕。まぁええや角触らんように気ぃつけよ。


「痒い所はないですかー」

「角の周辺が痒いのじゃ」

「自分でかいてくださーい」

「なんで聞いたんじゃ?」


 その後もわしゃわしゃと洗っていき泡をシャワーで洗い流す。


「ほれ、終わったぞ。体洗ったら湯船浸かりぃ」

「はーい……」


 僕もさっさと体を洗ってから湯船の方へと向かう。……あれ僕髪洗ったっけ。出る前洗うか。


「おーお兄さーん。終わったのー?」

「おう終わったで。……何処見とるん?」

「えっ、言わせんなよ馬鹿ー」

「何処見とったんじゃ阿呆」


 湯船の方から冬華から声がしたのでそれに応えてから冬華が居ない湯船に浸かる。


「あぁぁぁぁ……極楽極楽」


 風呂……と言うより温泉自体には毎日通っていたからか涙が出てくることは無いがこれからは金を払わずに湯船に浸かれるのが何よりも嬉しい。


 湯船に浸からな疲れとれへんからな。


チャポ


「あん?」

「隣失礼するよおにーさーん」

「嫌やが?」

「そんな事言わずにー」

「僕ら今日が初対面やんな?」


 何を言っても止まらず冬華がこちらに近付いてくる。もしかして初対面やと思っとるの僕だけなんかな。初対面の異性への距離じゃなさすぎん?


「そんな釣れないこと言わないでよ。私だって初めての家族で距離感分かってないだけだしー」

「……初めての家族って?」

「私孤児って言うかなんと言うか……まぁ捨て子でさ。椿さんに拾ってもらってここに来たんだけど……どうしても壁が出来ちゃって、だから家族って言ってくれたことが凄く嬉しくて」


 あれ?なんだか言葉にならないやと言いながら冬華が自分の思いを綴っていく。


「今まで家族なんて知識でしか知らなかったからどう接したらいいのか分からなくて、だから漫画を参考にしてみたんだけど……違った?」

「違いはするけど僕も言うて知らんしな。兄弟とかおった事ないし……ほれ、何立ち止まっとんねん」

「んえ……?」

「はよこい隣」

「っ!やった!」


 喜びの色をめいっぱい顔に浮かばせ冬華が僕の隣へと座る。いやだって無理ちゃう?あれ聞いて近寄んななんて言えるわけないやろ。僕らは家族やからな。泣いてる家族に冷たくできるわけないない。


「んへへーおにーさーん」

「寄りかかられると恥ずいからやめてくれん?」

「なんで?反応しちゃうから?」

「しゃらっぷ」


 女の子がそういう事言うもんじゃありません。






──side椿


 ……楽しそうじゃな、あやつら。


 仲良く湯船に浸かり談笑をしていそうな2人の光景を見てそう独りごちる。


 儂もあそこに混ざりたいが恥ずかしすぎて行ける気がせん。髪洗ってもらうのも大分勇気振り絞ったんじゃ。これ以上は死んでしまう。


 んぐぐでも羨ましい……、どっどうしたら……どうしたらええんじゃ……!


ガラガラガラ


 そんな時、風呂場の戸が開く音がした。


 思わずそちらに目をやると服を全て脱ぎ捨て仁王立ちをしているシオンの姿が目に入ってきた。


 そういやおらんかったなシオンのやつ。






──side蓮


「あり?シオンさんじゃん。起きたんだ?」

「どんな格好しよる?裸やったら見れへんねんけど」

「どれどれー?うん。ちゃんと服着てるよ」

「おーなら良かった。目開けれる」


 目を開け姉さんがいるであろう方に目を向ける。全裸で仁王立ちした姉さんの姿が目に入った。


「おい」

「んー何お兄さん」

「お前の言うことは信用せんことにするわ基本」

「ごめんて!」

「上から下まで全部見ちまったじゃねぇかよ……!」

「ひはひひはひ!ひっはははひへ!(痛い痛い!引っ張らないで!)」


 ほっぺたを引っ張り冬華に制裁を加えているとずんずんと誰かがこちらに向かってくる音がする。


「蓮!」

「……なに?姉さん」

「なんで私を置いていくんですか!姉たるこの私を!」

「いや幸せそうに寝てたし……てかよく分かったな僕らが風呂に居るの」

「気配がしたんですよね。蓮の」

「怖すぎん?」


 うん。え?怖すぎん?


「体を洗い終わったら浸かるので少し待っててくださいね」

「よっしゃはよ出るぞ冬華!冬華?」

「まだ浸かろうよお兄さん。急ぐことないって」

「急がせろ!増えんねんぞ僕の近くに全裸の女が!僕の理性が殺人されんねんこのままやと!」

「殺しとけば良くない?」

「この悪魔めが!」


 僕の理性を守れるんは僕だけや!僕は抜けさせてもらうで!


「じゃあな冬華!」

「逃がさないよお兄さん!」

「くっ!離せぇ!」


 湯船から逃げようとしたら冬華に抱きつかれ捉えられる。良かった。貧相すぎて冬華には反応する気がせぇへん。助かった。


「なんか失礼なこと考えてるよねお兄さん!」

「考えとるわけないやん?」

「目ぇ見て話してよ!」






──side椿


 羨ましそうに冬華と蓮を見てる儂の横にシオンが座る。


「混ざらないんですか?」

「いやほら、えと、恥ず……かしくて」

「珍しいですねご主人様が恥ずかしがるなんて」

「そ、そうかの」

「でもそのままなら私と冬華で蓮のこと独占しますよ?」

「それは嫌じゃあぁぁぁぁ」

「なら勇気出しましょうよ冬華を見習う……のは良くないですけど」


 ちらりと冬華の方を見てみると全身で蓮の腕に捕まる冬華の姿があった。


「うっ羨ましいのじゃ……」

「羨ましいですね……よし、終わり。じゃあ私先行くのでご主人様も早く覚悟決めてくださいね」

「待っ」


 呼び止めても止まらずシオンが去っていく。その足取りは堂々としたもので羞恥を感じさせないが耳が少しだけ赤くなってるのを儂は見逃さない。


 儂も勇気を、勇、気を……。無理じゃあああ出来る気がせん!


 その後も1人でワーキャーしていたらかなりの時間が経っていたようで、いつの間にか冬華が上がりシオンも上がり蓮が1人となっていた。


 上がる時に2人がこちらに目配せをしてくれていたので気を使ってくれたのだなと分かった。


 ここまでお膳立てされて足踏みしてる訳にはいかん。儂はゆっくりと、だが確実に蓮が浸かっている湯船へと向かった。


────────────────────

1日終わらなすぎて草。


読みにくい所や表現が違う所があれば教えてください。


モチベに繋がるので感想や♡や星沢山ください。星100目指してます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る