2.こんごのけいかく
ーー翌朝。
お袋の隣には親父と思しき人物が座っていた。青髪に緑の目のイケメンである。チクショウ。
あ、でも俺はこの人にそっくりの可能性もあるのか。っていうかこの親父とこのお袋ならイケメンルート確定じゃねーか!
ふっふっふ。今から学園生活が楽しみだぜ。学校あるか分からんけど。
アホなことを考えている俺に、親父が透明の輪っかを差し出した。
ん?何だこれ?どうやって使うのか教えてよパパー。
俺の視線の意味が伝わったらしく、親父は俺の腕にそれをつけた。
…っていうか生後2日の俺とアイコンタクトを交わしたことに疑問を持てよ。
俺生まれたの昨日だぞ。
あ、慌てだした。でも親父の顔が得意げだから多分
「こいつすげえ!生まれたばっかりでアイコンタクトとかまぢ天才じゃね?ウケるw」
とか言ってるんだろう。何故にギャル語。
お袋は完全にパニクってるけどなー。
するとさっきの腕輪が光だした。
うおっ!何だ?
両親も騒ぐのを忘れて俺の腕を見ている。
10秒程で光はおさまり、腕輪は紫に変わっていた。
おおすげえ!魔法か?
親父とお袋の様子を見ると…うん完全に固まってるね。とりあえずこれが何か教えて欲しいけど言葉が分からん。これは誰もいなくなってから勉強だな。
あ、でもまだ関節もはっきりしてないから歩くどころか手を握るのも無理だった。赤ん坊って不便ね。
すると銅像になっていた2人の呪縛が解けたようで、今度は大騒ぎを始めた。
この家ではよくあることみたいで、すぐに昨日のネコ耳メイドちゃんともう一人ネコ耳メイドちゃんが飛んできた。
もう一人メイドいたんだ。両方ネコ耳なのは誰の趣味だ?
昨日のメイドちゃんが明るいオレンジの髪と目なのに対して、もう一人は少し大人びていて綺麗な白い髪に深い青色の目をしている高校生くらいの女の子だ。
白ネコちゃんはホエザルと化した2人を止めに行き、オレンジネコちゃんは俺を避難させてくれるようだ。助かります。
だが意外にもこの騒ぎで思わぬ収穫があった。白ネコちゃんが2人の名前らしきものを呼んだのだ。
ちゃんと聞き取れていたら、親父が“ルイス”でお袋が“フィエナ”だ。
また、どうにも落ち着きがない2人に対して白ネコちゃんが言っていることも推測がつく。おそらく「落ち着いてください!」みたいなことだろう。オレンジネコちゃんが俺に言っていたのは「怖かったでちゅねー。もう大丈夫でちゅよー。」といったことだろう。赤ちゃん言葉かは分からんが。
割と行動が分かりやすい両親だから、メイドちゃん達の言っていることがある程度パターン化してくる…と思う。そうなったら順調に言葉を覚えられそうだ。
そしてもう一つ、オレンジネコちゃんが俺を避難させた時だ。
部屋の明かりをつけるときに、入口近くのパネルに触れたオレンジネコちゃんの手が光だし、何かがパネルに流れていったのだ。
これは魔力だろう!魔力なんだな!お、おにぎりが食べたいんだな。
…えーっと、まあ魔力があることは分かった。とりあえずは言葉を覚えるのと魔力(俺にあるのか分からないが)を感知するのが課題だ。言葉に関しては親父とお袋がいつもいるとは限らないので、動けるようになってから本格化しよう。
ということで当分メインは魔力だ。
いずれはチンカラホイって指を向けたらメイドちゃんのスカートがめk…ゲフンゲフン。
ま、まあとにかく魔力感知が第一だ、うん。
自分を見ながらコロコロ表情を変える俺を見て、オレンジネコちゃんは首を傾げるのだった。
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