【悲報】豆腐メンタルで底辺配信者な私が、クラスの人気配信者とグループを組んでバズったんだが〜スリーピースバンドを組まされたの巻〜【短編】

水定ゆう

第1話 稲妻ギタリスト

 今日は私と麗翼ちゃんでお買い物。

 とっても緊張する。胸がドキドキする。

 心が痛くて仕方なく、胸が張り裂けそうになる。


「すむちゃん、あっちでなにかやってるみたいだよ」

「そ、そうなの?」

「うん。行ってみよ」


 この先に何かあるのかな?

 私は気になりつつも、麗翼ちゃんと一緒に向かう。


「ここはね、ストリートミュージシャンの通りなんだよ」

「ストリートミュージシャン?」

「うん。届け出を出さなくても、自由に道で楽器が弾けるの。後、ライヴハウスも多いみたいなんだ」

「そ、そうなの?」


 こんな場所があるなんて全然知らなかった。

 私みたいな陰キャボッチ人間には縁がない。

 だから避ける所か見向きもしなかったけど、意外にハイテクだった。


「ここを通ったら、向こうに美味しいパンケーキ屋さんがあるんだ。行こっ」

「う、うん」


 私は麗翼ちゃんに連れられ、パンケーキ屋さんを目指す。

 そんな中、通りかかったストリートのホールで、爆音が響き渡る。


 ギュュュュュ―ン、ギュィィィィィン♩


「凄い」

「本当、たくさんの観客だね」


 ふと視線を逸らすと、たくさんの若い人達が集まっていた。

 誰かを見ているようで、拳を振り上げている。

 気になって私は視線を飛ばすと、瞬きをする。そこに居たのはエレキギターを肩から掛けた少女だった。


「見て、私達より年下の女の子みたいだよ!」

「本当だ。凄い」


 こんなに目立っているのに堂々としている。

 得意気にギターを響かせると、私はおかしなことに気が付く。


「あれ?」

「どうしたの、すむちゃん」

「あの子、アンプを使ってない。エレキギターなのに」

「ええっ!?」


 私はつい気になって見てしまった。

 まるで見惚れてしまった感じだけど、おかしな点がある。

 電源らしきものは一切無い。無造作のスピーカーから音が出ない。ましてやアンプもなく、少女の体が少しだけビリビリしている。


「変だよ」


 私がそう呟くと、少女と目が合ってしまった。

 私は緊張して背筋を伸ばすと、視線を逸らす。

 それから一通り弾き終えると、拍手喝采が上がった。


「凄かったね」

「うん。でも……あれ?」


 少女は何故か私達を見ている。

 なんだろう、目を付けられちゃったのかな?

 どうしよう。悪気無かったのに。


「こ、こっち来たよ!?」

「どうしたのかな? なにかあったのかな?」


 少女は私達の方に近付いて来る。

 なんでだろう。本当になんでなんだろう。

 怖い、陽の人ってなんだか怖い。


「ど、どうしたの?」

「来て」


 少女は目の前にやって来た。

 かなり背が低くて、ジト目になって私達を見つめる。

 困ってしまった私だったけど、突然少女に腕を掴まれた。


「ちょっと待って。体ビリビリしてるよ?」

「……見えるの?」


 私は少女の体がビリビリしていることが気になる。

 触ったら感電しちゃうかもしれない。

 そう思って腕を払おうとしたけど、全然放してくれない。


「み、見えるけど?」

「コレのおかげ」


 如何やら普通は見えないらしい。

 しかも少女は見える原因がエレキギターだと教えてくれる。

 どういうことなのかな?


「ギター?」

「そう。これのおかげで能力が使える」


 如何やらこのギターのおかげで能力が使えるらしい。

 いや待って。今能力って言ったよね。

 何が如何なってるの? 能力者は引き合うの!?


「能力ってことは、貴女も能力者なんだね。そっか。初めまして、私は麗翼」

「え、えっと、進夢です」

「……甘羅からん


 麗翼ちゃんはとっても丁寧だった。自己紹介を簡単に済ませると、私も上手く合わせようとした。

 だけどたどたどしくなっちゃって恥ずかしい。

 私は自分が嫌になるけど、少女、甘羅ちゃんは気にしてない。


「そんなことより早く来て」

「ま、待ってよ。何処に行くの?」

「ライヴハウス」

「ライヴハウスってどういうこと!?」


 甘羅ちゃんの目的はライヴハウスらしい。

 確かに目の前に大きなライヴハウス? かもしれない建物がある。

 何だか怖い。だって外観がネオンなんだもん。


「麗翼ちゃん……」

「あっ、待ってよ。私も行く」

「二人が来てくれないと困る」


 麗翼ちゃんは楽しそうに追いかけた。

 ううっ、この状況を楽しめたらいいのに。

 私は豆腐メンタルすぎてボロボロに崩れると、振動による熱だけで崩れてしまった。

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