4話「猿夢」

4-1 猿夢とは

 猿夢。

 2000年頃にインターネット掲示板のスレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」に投稿された怪談である。夢と言う普遍的な題材を使うことで「いつか自分も体験するかもしれない」と言う恐怖心を植え付ける傑作だ。

 話の流れは以下の通り


 ある日、無人駅のホームに居る夢を見た。

 不思議と夢の中だと自覚していると、「今から来る電車に乗ると酷い目に遭う」と言うアナウンスが流れて、電車が来た。

 その電車は普通の電車ではなく、遊園地にあるようなお猿さんの電車で、座席には顔色の悪い男女が一列に座っていた。電車に乗ることを決め、後ろから三番目の席に座ると、電車は動き出し、ホームを出てすぐのトンネルへ入っていった。

 トンネルに入ると「次は活け造り〜活け造り〜」とアナウンスが流れ、すぐ後に悲鳴があがる。悲鳴がした方を見ると、電車の一番後ろの男に、ボロきれを纏った小人が群がっており、男性は本当に活け造りのように捌かれていた。

 驚きつつも、妙に現実感のある活け造りに、これが本当に夢なのかを疑うようになる。少し様子を見てから目を覚まそうと考えた。

 少しして「次は抉り出し〜抉り出し〜」とアナウンスが流れる。今度は二人の小人が隣と女性の目玉をスプーンのようなもので抉りはじめた。そこで、電車から降りようと考えるが、その前に自分のアナウンスを確認しようと考える。

 「次は挽肉〜挽肉〜」と言うアナウンスが流れる。必死に夢から覚めようと念じていると、膝に小人が乗り変な機械を近付けてきた。うぃーんと言う機械音が段々と大きくなっていき、顔に風圧を感じた。もうダメだと思った瞬間に静かになり、そこで夢から覚める。

 数年後、同じようなな夢が見える。夢から覚めるように念じるが、中々覚めず、前と同じように「挽肉」とアナウンスが流れた。機械音が近付いてきて、「もうダメだ!」と言う直前に夢から覚めた。

 目を開けようとしたその時、電車のアナウンスと同じ声で「逃げるんですか〜次に来た時は最後ですよ〜」と声が聞こえた。咄嗟に目を開けると自分の部屋に戻っていた。

 次に夢を見たら、自分は死ぬのだろう。


 夢の中で起きたことが本当の死に繋がる。

 この怪談の語り手のように、読者も猿夢を見てしまうかもしれない。しかも、睡眠、三大欲求の中の一つで抗い難い欲求に付随する恐怖を描いた一作であり、具体的かつグロテスクな殺害方法、電車のアナウンスという奇妙な殺害宣告など、独創的なシチュエーションが読者の記憶に恐怖を刻み込む。

 猿夢は迷い込んでしまったら、夢から逃げなければ一方的に虐殺されてしまう。

 そんな圧倒的な捕食者を食べたら、どんな味がするんだろうか。


 今回の話は、私と喰村さんが、猿夢と遭遇した男の家族に相談を受けるところから物語が始まる。



第四話「猿夢」

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