第5話 結婚式
結婚式に参列できるのは、基本的に貴族、それも上位だけ。
だが、ミロオとアイラは雑用係と何かあった時の護衛として隅に控えることを許可されていた。
ステンドグラスを通して落ちる色とりどりの光に照らされ、純白のウェディングドレスをまとったユリエッラがレッドカーペットを歩く。
ミロオは、なんと絢爛で優美なと感動するよりハラハラしていた。
ユリエッラは、普段はドレスではなくひざ丈のワンピースかシャツにスラックスという服装で過ごしていて、ウェディングドレスのような動き難い衣装になれていないのだ。
ミロオは転びませんようにと胸の前で手を組んで祈る。
なんとかユリエッラが無事に祭壇の前で待ち構えるシリウスのところまで歩きとおした。
真っ白な正装を身にまとい、こちらも端麗なシリウスに手を取られ、聖歌隊の歌声をバックに指輪の授受が行われる。
そして誓いのキスを額に。
これで儀式は終了し、万雷の拍手のもと式場となった大聖堂の外へと歩いていく。
儀式は終了したが、このあとはパレードが待っている。
だが、ミロオとアイラはパレードを見ることができない。
ここから先の雑用と護衛は近衛が担当するのだ。
ミロオとアイラは明日の国王夫妻お披露目パーティーの準備の手伝いをすることが決定している。
ミロオは、明日のお披露目パーティーが終わったら数日ぶりに手ずから入れた香茶でユリエッラをねぎらおうと決めていた。
彼女はミロオの入れたお茶じゃないと元気が出ないのだから、せいいっぱい美味しいお茶が入れられるよう環境を整えておこうと誓うのだった。
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