第26話 卒然の来訪者
「――なあ
「72。正直、あんま自信なかったけど思ったよりは出来たわ。でも、あの計算ミスがなけりゃなぁ」
「ねえねえ、あたしにも聞いてよ勇人」
「あたしにもって、そもそも俺はまだ誰にも聞いてねえけど……まあいいや。お前はどうだった?
「……え〜、どうしよっかなあ。言っちゃおうかな〜でもなあ〜」
「なあ
「ああごめんごめんちゃんと言うから! えっとね……78点!」
「……へぇ、凄えじゃん。頑張ったんだな」
「……へへ、まあね。ところで、
暑さもぐっと収まり、些か肌寒くもなってきた10月下旬の放課後にて。
先週実施された中間試験の話で盛り上がるトップカーストのクラスメイト達。こういった光景にも、今や何だかほのぼのする自分がいたり。
……そう言えば、もう1ヶ月くらいなんだね。思い掛けず……本当に思い掛けず、琴乃葉月に彼女が現れて以来、もう一ヶ月くらい経過して――
「――ここに、
「…………へっ?」
追憶に浸っていた
卒然の美少年の登場に、俄かに
……ただ、残念ながらそうもいかないようで。何故なら、先ほど明確に告げていたように、かの美少年の用事は僕にあるみたいなので。
……だけど、ほんとに何だろう? 実は、顔見知り……でもないよね。さっきの彼の言葉からも、
ともあれ、このまま突っ立っているのは大変よろしくない。何とも珍しいことに、この僕が目下数多の生徒から注目の的となっているし、それに……それなりの距離があるにも関わらず、かの美少年の瞳にはありありと敵意が見て取れるから。……僕、なにかしたかな?
さて、マッシュヘアの美少年に連れられ到着した先は――なんと、聖香高校七不思議にも数えられる例の階段だった。そう言えば、あの張り込み以来一度も訪れてなかったけど……よもや、こういった形で再び足を踏み入れることになろうとは。何だか、ちょっと感慨ぶか……うん、言ってる場合じゃなかったね。……ところで、七不思議って誰が言ってたんだっけ?
「――こんなとこまで来てもらって悪かったな。俺は一年F組、
「……へっ、あ、はい……」
すると、不意にこちらに身体ごと振り返り自己紹介をしてくれる美少年。そっか、日坂くんというんだ。
……でも、結局どんな用事なんだろう? そもそも、今更ながら僕なんかを……それも、フルネームで知ってくれていたのが驚きなくらいで――
「それで、単刀直入に聞くが――お前は、夏乃の何なんだ?」
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