神様から雑に捨てられた俺とりあえず強くなることにする

柑橘 蜜柑

第1話 転移

みなさん初めまして

今、現在進行形でわけのわからないでかさの熊から逃げています。

星矢 剣斗と言います。

なんでこんな状況なのかって?

俺が聞きたい。

とりあえず今まであったことを簡潔に話すわ。


〜今より10分ほど前〜


「はぁーいきたくねぇー」


俺はただ学校が嫌いなだけの高校一年生だ。特別な理由があるわけじゃない、友達も普通にいる。ただ、学校に行くこの道はすこぶる嫌いだ。


「つっ」


突然おれの真下からまばゆい光が俺を包み込んだ。俺はまぶしさのあまり腕で目を隠した。


光が消えたのを感じて、ゆっくりと目を開く。そこにいたのは慌ただしくしている爺だった。

え、なんで?どういうこと訳が分からないとと思っていると、爺がこっちにとんでもないスピードで振り返った。


「おぉー、目を覚ましたか。とりあえず、魔力とこれと・・・」


「あの、すいません。ここはど、」


「ほいじゃー、行って来い!」


爺が俺の話を遮って手をバイバイすると、俺の立っていた床がすっぽ抜けた。


「はぁ」


俺は落ちていった。いや、ほんとどうなってんのぉぉぉぉぉー

いやいやいや、この高さは死ぬ。絶対に死ぬ。下を見てそれを確認し、確信へと変わる。終わったー。ここまで来たらもう焦らないわ。一周回ってあきらめだわ。

俺は諦めて目をつむった。


地面へと衝突した。はずなのに地面が思ったより柔らかかったおかげで無傷で済んだのだ。あの爺もそこは考慮してたのか。


「てか、あいつどうせ神様とか言うやつだろ!おれラノベちょっとかじってたからわかるからな。いい加減なことしてんじゃねーぞ邪神」


一通り叫んで我に帰る。さて、現実を見ようか。まず、この地面やけに生暖かい。それにだんだん硬度が上がっていっている。極めつけは、二本の足が見えてんだよな。さて、取り敢えず飛び降りましてと。


「覚えとけよ邪神がー!」


とりあえず走り出すのであった。



〜回想終了〜

そんで今ここ、絶賛クマに追いかけられてます。


「って、俺は誰に話しかけてんだー!」


いやもう終わりだ。走り出して10分くらい経った。足はもう限界だし、頭もクラクラしてきた。終わったなー。いや、もう追いかけてきてない可能性も


「ハッ、ハッ、」


ですよねー。

ないですよねー。

忠犬ばりに追っかけてくるじゃん。可愛くないわ。デカすぎるもん。なんか助かる策ないの。

もしくはここから入れる保険とかない?

あるわけないよねー

はぁー俺の死因異世界転移からのクマに捕食されて死亡か。

いや、それはそれで面白いか


「タスケテヤロウカ」


うわ、終わりだ。幻聴が聞こえ出した。しかもタチの悪い希望をもたせるやつだ。はい終わり。俺の人生ここでしゅうりょーう


「オイキコエテナイノカ」


はいはい死亡宣告ありがとうございます。

ご親切にどうも


「ダカラタスケテヤロウカト」


「だったらごちゃごちゃ言わずに助けろや!見てわかるだろ死にかけてんだよ!はよ助けろ!」


幻聴に逆ギレとか俺も終わりだな。

自分に落胆していると目の前から大きな灯りのようなものが近づいてくる。



え?あれ火の玉だよね

なんか木々を焼き払いながら突き進んでくるんだけど、しかも遠近法かなんかでちっちゃく見えてたのか知らんけどすんごいでかい。え、四面楚歌やん



てかこれ、某有名ゲームのラス面じゃね

前から火球、後ろから強制スクロール。


うん、俺も全力でしゃがもう。

いや、下に滑り込もう

それしかないわ。

あのゲームのおっさんならそうするだろ。

俺は覚悟か諦めかよくわからないものを決めて火球目掛けてスピードを上げる。


「どうにでもなれー!」


俺は背中で熱を感じながら地面へと滑り込んだ。それとほぼ同時に後ろから爆発音がした。

俺は恐る恐る顔を上げて後ろに目をやる

そこには真っ黒に焦げ焼かれたクマの姿があった。


「はっはー!罰が降ったぜ。俺に喧嘩を売るからだよ!多分売ったの俺だけど。まぁどうでもいいぜ!ヒャホーい!」


俺は訳のわからないダンスを踊りながら天へと高々に勝利宣言をする。


なんでこんなにテンション上げてるのかって?

だって仕方ないじゃん。

森の奥から轟音が俺目掛けて近づいてきてるんだぜ。

ほら、空には雲もなかったのに俺はいつのまにか影にいるんだぜ。


ドォォーン


人生で初めて振動で地面から浮いたわ。

クマに追いかけられた次はそれからドラゴンが来やがったよ。

前途多難すぎません。

まぁいいや、どうせ死ぬなら、


「お前、さっき馬鹿でかい火球俺目掛けて放ってきやがっただろ!お陰で死ぬところだったんだからな!てか、幻聴もどうせお前か?もうファンタジー過ぎてなんも驚かんわ!とりあえず聴く前に助けろ!追われてんだから!」


とりあえず啖呵を切ってみた。

いや、だってムカついたんだもん。念話?なんて地球にはなかったしわかる訳ないやん。

うわぁー、ドラゴンがすんごい睨んできてる。

すげぇー怖い、誰か助けて

謝ったら許してくれるかな


「いや、すいません。先ほどのはそのアドレナリンが出過ぎてですね。少し出過ぎた真似をしてしまいました。なんて、」


ドラゴンがさらに形相を鬼にする


「面白くないですよね。すいません。その、助けていただいたことは非常に感謝しててですね。でも、まだ死にたくはないんですよ。食う以外でなんかないですかね」


うん、無さそう。

顔つき見たらわかるすんごい怒ってるもん。

ほんとに保険に入りたい。

どうしたら助かるかな。

日本人誠意の土下座でも見せるか







うん、意味なさそうだね。

よし、諦めて最後のお願いしてみるか。言うだけだったらタダだろう。

俺は正座の姿勢のまま姿勢を正し


「俺を強くしてください!」


おねだりをしてみた。ドラゴンは不意を突かれたのかキョトンとした顔をしている。

ドラゴンは焦ってすぐに顔を戻した。


まぁダメだろうな


「イイダロウ」


「えっ!いいの?!」


朗報

異世界にきて約30分

ドラゴンの師匠を得ました。




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