第7話 軍旗
神谷の過去が明かされるとき、その人物像はさらに複雑なものとなる。彼はかつて、東京メトロの職員として働いていたが、その日々は決して平穏無事なものではなかった。職場では上司からのパワハラに苦しみ、次第に精神的に追い詰められていった。言葉の暴力、過剰な業務負担、そして冷徹な監視の目に晒される毎日。神谷の心は徐々に歪み、壊れていった。
「何もできない…ただ、言われた通りに働いているだけ…」それが神谷の心の中で響いていた言葉だった。しかし、彼の苦しみを誰も理解してくれなかった。誰かが手を差し伸べるわけでもなく、ただ日々の仕事に追われ、彼の精神は次第に硬直していった。
ある日、神谷はついにその限界を迎える。職場での理不尽な圧力に耐えきれず、彼は爆発的な怒りを抑えきれなくなった。だが、その怒りが爆発した瞬間、彼を待っていたのはさらに強い制裁だった。上司からの怒声と冷たい目線、そして次第に周囲から孤立していったことが、彼の心に深い傷を残した。
そんな折、ある事件がきっかけで神谷はメトロを辞職することになった。その時、彼は一度は静かな人生を選ぼうと考えた。しかし、内心ではこのままで終わるわけにはいかないという強い決意が湧いてきていた。
それから数ヶ月後、神谷は自らを変え、力を手に入れる方法を模索し始めた。過去の辛い経験が、彼を無力さと怒りに満ちた存在に変えていったのだ。そして、地下鉄網を支配する力を手に入れることができれば、過去の自分を超えることができると信じて疑わなかった。
その後、神谷はある組織に接触する。その組織は、魔法や駒の力を駆使して、地下の支配を目指す者たちだった。彼らから教えられた魔法の力を受け入れた神谷は、もはやただの職員ではなく、強大な力を持つ存在へと変貌していった。
「もう、誰にも支配されることはない」神谷はそう思った。だが、その力が彼の心をさらに冷徹にし、周囲をも巻き込んでいくことに気づくことはなかった。彼の背負っていた過去の痛みが、今や彼の力の源となり、仮面の人物のように、彼を新たな存在へと変えていったのだ。
その結果、神谷は地下鉄網の支配を目指して動き始め、次第にその力で周囲を圧倒していった。そして、彼の持つ魔法の力は、ただの魔力を超えたものへと変わり、駒に宿る魔法と人間の意志が交錯したような存在となったのだった。
「この力で、もう誰にも屈しない」神谷の眼差しは冷徹で、もはや過去の自分を取り戻すことはなかった。しかし、彼の心の中には、わずかながらもかつての苦しみと未練が残っていることは、誰も知ることができなかった。
神谷が手に入れたのは、ただの魔法の駒ではなかった。彼の手にしたのは「軍旗の駒」と呼ばれる、非常に強力で特異な能力を持つ駒だった。この駒は単なる象徴ではなく、軍の指揮官や戦の中心人物が持つべき力を象徴しており、その魔力は尋常ではない。通常の駒に宿る魔力の何倍もの力を秘めていた。
この「軍旗の駒」は、神谷のもとに現れるまで長い歴史を持つ伝説的な魔法の品であり、特定の条件下でのみその力が引き出されると言われていた。神谷が手に入れた瞬間、駒の力が彼の内なる怒りと苦しみを感知し、力を与え始めた。駒の表面には刻まれた古代の符号が光を放ち、神谷の体に強烈な魔力を流し込んだ。
その魔力は、神谷が持っていた過去の痛みや屈辱を消し去るどころか、それをさらに強化するかのように彼を駆り立てた。駒の力を完全に使いこなすためには、神谷の精神が完全にその力に支配される必要があった。
「これが、俺が求めていた力だ」と神谷は呟いた。彼の心の奥底には、今や冷徹で無情な決意が宿っていた。軍旗の駒を手にしたことで、彼はただの一職員ではなく、地下鉄の支配者としての立場を確立したかのように感じていた。その駒の力によって、彼の指揮する力は格段に強化され、周囲を圧倒する存在へと成長していった。
軍旗の駒の魔法は単なる戦闘力の向上にとどまらず、神谷に戦術的な洞察をもたらした。それにより、彼は戦の流れを操るような能力を持つようになった。駒を指し示すだけで、彼は敵の弱点を見抜き、瞬時に戦局を有利に進めることができた。
神谷は、軍旗の駒を使ってその力をさらに拡大していく決意を固めた。その力を持って、ついには地下鉄網だけでなく、さらに広範囲にわたる支配を目指すようになった。彼の名は、もはや神谷ではなく、地下の支配者「軍旗の王」として恐れられることになる。
しかし、軍旗の駒が与えた力は神谷をも変容させた。駒の力に取り込まれ、彼の意思は次第に冷徹で無感情なものへと変わり、かつて抱いていた復讐の意志すらも、駒の力によってより大きな欲望に転換されていった。それは、単なる支配の欲求ではなく、全てを制圧し、全てを従わせる力への渇望だった。
神谷の物語は、もはや過去の苦しみからの解放ではなく、力を手に入れたことによる新たな代償を描くものとなった。
軍旗はすぐ後ろにある味方の駒と同じ威力となる。たとえば軍旗とタンクが戦うとき、軍旗のすぐ後ろが少将ならば軍旗が勝つ。軍旗のすぐ後ろが大佐のときはタンクが勝つ。このとき、大佐は同時に撤去されない。軍旗の後ろが地雷のときは、タンクと軍旗が相打ちになり、両者とも盤から除去される。このとき、地雷は撤去されずその場に残る。また、軍旗のすぐ後ろが敵の駒か何もない場合、あるいは軍旗が自陣の最後列(総司令部も含む)にある場合は、どの駒と戦っても負ける。
「より、強い仲間を探さないと」と、神谷はひとりごちた。
🔫将官所有武器
大将 ミサイル
中将 バズーカ
少将 アサルトライフル
大佐 スナイパーライフル
中佐 マシンガン
少佐 ハンドガン
大尉 防弾チョッキ
中尉 盾
少尉 ヘルメット
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