第六位・不可視のロック・ボックス
第六位、ロック・ボックス登場!
「スマッシュリングの参加すんなら、もう一つ奥の手がいるわね」
朝からエヴァーレインはレイニーマート臨時休業の看板を出す。
エプロンをつけ、気合を入れるように白銀色のバンダナを巻く。
そして、ルーデンスに展開させた《ベイルナイト》アルビオンをタブレットでスキャンする。
物質を視認する際、拡大と縮小のどちらもできる拡大眼鏡をかけ、構造を確認する。
着装者を覆う鎧兜、そして《ベイルナイト》の大切なデータが記録されている水晶・ベイルタルにも問題はない。
現代のマギニックの整備の必需品となっている、そのタブレットは読み取ったアルビオンのベイルタルに記録されているデータを映す。
《ベイルナイト名、アルビオン。
着装者、ルーデンス。
武装能力は手に触れた武装の略奪。
戦績
???
ブラックオックス
ザトス
ソードルプス》
「武装と着装者はまだしも、交戦記録あんのは様々ね。……アンタたちの
ルディをナメてたとはいえ、あの
「何が馴れ初めよ。……私たちもよくわからなくてそう呼んでるだけだし、詳しい名前はわからない」
エヴァーレインがタブレットを眺め、ニヤニヤ笑いながら言うと、レイは食ってかかる。
眉をピクピクとひくつかせ、あのねえと言いたげなレイ。
相当、エヴァーレインにとって、ヒルダの生徒であるというレイはからかい甲斐のある存在であるとルーデンスは看做した。
「まあ良いわ。とはいえ、ルディの《ベイルナイト》は武装がない状態でこそ真価が発揮される。ヒルダとは反対ね」
「姉ちゃんのはまたちょっと違うだろ?」
積み上げた《ベイルナイト》の武装をエヴァーレインは一瞥する。
多くの《ベイルナイト》の武装は
待機状態になるにあたり、《ベイルナイト》は武装を一緒に変換することができる。
そのため、装備に限界がなく、自由性が高いのだ。
反面、着装者本人の動きに影響はちゃんとあるのだが。
「アルビオン名乗るなら、あれくらいやってもらわなきゃね」
「あれって?」
エヴァーレインが示した方向に置いてある、棚には“ビーム両断記念”と書かれたカードと姉弟の写真がある。
ヒルダにエヴァーレインが抱きつき、キスを迫るのを片手で拒絶しつつ、空いた手でアルビオン・ブリュンヒルドを描いた紙を持つルーデンスの頭を撫でている。
ごくふつうのありきたりな家族写真である。
「店長さんをルーデンスが押しのけるって?」
「アンタ、はっ倒すわよ?……ビームくらい、切れるようになりなさいって言ってんの。
蹴り飛ばすでもいいわよ?」
エヴァーレインの言葉にレイとルーデンスが顔を見合わせた後、彼女はケラケラ笑った。
「で!アンタのだあいすきなアルビオンに良いもん仕込んでおいてあげる。男なら好きそうなヤツ」
エヴァーレインは人差し指を立てれば、イタズラっぽく片目を瞑り、ルーデンスに笑いかける。
そんな彼女に二人は追い出された。
アステル・クレスや加減していたとはいえ、ランキング第二位のファングと戦うきっかけになったのも同じような送り出しだったなとルーデンスはふと思った。
男ならだあいすきなもの、と言う響きが気になるところだが。
「あの人、本当に自由人ね……」
「姉ちゃんと出会った時かららしい。
姉ちゃんが俺のために《ベイルナイト》着装者になる、って決めた時にはイヴはもうマギニックだったみたいだし。
マギニックの技術なんて、独学で学べるようなものじゃないんだけどな」
ルーデンスは知り合いでなければ、見惚れるほどの美貌を活かした笑顔を見せるエヴァーレインの様子を思い出した。
マギニックとしての知識や技術は長期の住み込みで師匠から教わるものだが、エヴァーレインはその性格から受け入れるマギニックの師匠がいなかったのではとルーデンスは睨んでいた。
それでも、小さいながらも店を開いている辺り、確かな腕があるのだろう。
「規格外なんじゃない?あの人」
「今でも大手から声はかかるみたいだから、だと思う。……お、ベイルバトルやってる」
「そうなの?……風切る音がするし、何か魔法を使った武装かしらね?」
エヴァーレインの持つマギニックとしての技量の高さを話しつつも、風を切る音のする方へと向かう。
大勢の観衆に囲まれた中、威勢がいい声を二人は耳にした。
「オラオラ!次のチャレンジャーは誰だ?不可視のロックと交流試合だ!」
ギアがついた赤い頭部。
筋骨隆々のボディ。
青のボクサーパンツ風の意匠を持ち、ガンホルダーの意匠がある
彼こそ、《ベイルナイト》着装者ランカー六人の一人。
ルーデンスの姿を見つけた、ロックは闘志を燃やすように赤いオーラを纏う。
「アルビオン・ブリュンヒルドの弟、話題のアルビオン・セカンドじゃねえか!
姉ちゃんのことはよく知ってるぜ?どんなバトルの後も迷わず帰ってた
そんなロック・ボックスの言葉に対し、レイはエヴァーレインに預けたアルビオンのことを思い出す。
「いや、いま整備してるから無理だ!」
「はァァァァ!?」
ルーデンスが手をヒラヒラさせながら断ると、ロックは兜の面越しにも分かるほどの気迫で叫んだ。
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