匂いフェチ男子は“シャンプーの香りがドストライクな幼馴染”と“香水の匂いが魅力的すぎる先輩”と“無香料女子”が気になるようです。 ~香りで恋する青春ラブコメ!僕の嗅覚が選ぶ“運命の香り”はどれだ!?~
旅する書斎(☆ほしい)
第1話 運命の香り?
僕の鼻は、ちょっと普通じゃない。
いや、少しどころか、かなりおかしい。
朝、駅のホームですれ違う人のシャンプーや香水、電車の中で隣に座った人の柔軟剤やらコーヒーの香りやら……全部が僕の脳に直撃する。
だからこそ、僕はいつだって「香り」で人を見る。いや、見てしまうんだ。
そして今日も、僕の“敏感すぎる鼻”は、今通っている学校で3つの衝撃的な香りと出会ってしまった――。
***
1つ目の香り――幼馴染の「シャンプーの香り」
「蒼っ! 早く早く!」
僕の名前を呼びながら、校門で駆け寄ってくるのは、幼馴染の結城 楓(ゆうき かえで)だ。
その瞬間、僕の鼻は一瞬で反応した。
ふわっ……。爽やかで甘い、理想的なシャンプーの香り。
これだ。この香りが僕の中で“ドストライク”だ。
「あ~、最高だな……」
「は? 何が?」
「いや、なんでもない」
僕は鼻をすんすんさせながら、彼女と並んで歩き出した。
何か言えば引かれるに決まってる。シャンプーの香りが好みすぎて頭が真っ白になるなんて、男子として情けないにもほどがある。
「ねえ蒼、来週テスト終わったらどっか遊び行こ!」
「またか? いいけど」
「やった! 約束ね!」
彼女は笑いながら僕の隣を歩く。その髪から、ふわりふわりとシャンプーの香りが漂ってくる。
爽やかで甘いこの香りがする限り、僕は彼女に逆らえない気がする――。
***
2つ目の香り――先輩の「魅惑の香水」
次に僕の鼻を誘惑したのは、僕が密かに憧れている藤咲 美玲(ふじさき みれい)先輩だ。
午前中の休み時間、廊下を歩いていると、ふわりと甘くて上品な香りが漂ってきた。
「あ、蒼くん」
振り返れば、そこには誰もが振り返る美人の先輩が立っていた。
「今日の香り、気づく?」
僕は思わず先輩をじっと見つめてしまう。
なんて大人っぽい香りなんだろう。甘すぎず、でもほんの少し危うさもある。
「えっと……いつもより、少し甘め……ですかね?」
先輩は優雅に微笑む。
「正解♪ さすが蒼くん、今日も冴えてるね」
僕の鼻が先輩の香水を逃すわけがない。香りだけじゃなく、先輩の余裕のある仕草や微笑み――全部が僕にとって完璧すぎる。
「じゃ、またね。放課後、少し手伝ってもらおうかな?」
そう言い残して去っていく先輩の後ろ姿。
残るのは、彼女の魅惑的な香水の香り――。
心臓がバクバクする。
やっぱり先輩、かっこよすぎるだろ……。
***
3つ目の香り――無香料女子の「無」
僕が3つ目の衝撃と出会ったのは、昼休みのことだった。
席に座っていた隣の席の水原 しおり(みずはら しおり)――地味であまり目立たないクラスメイトだ。
彼女は黙々と弁当を食べている。なんてことない光景だけど、僕は気づいてしまった。
「……あれ?」
匂いが、しない。
いやいや、そんなわけがない。人間である限り、シャンプーや柔軟剤、汗や石鹸――何かしらの香りはするはずだ。
なのに、彼女はまるで“無”だ。
「お前……なんで匂いがしないんだ?」
隣で弁当を食べていた彼女は、箸を止めて僕をじろりと睨んだ。
「は?」
「いや、違うんだ。普通、人って何かしらの香りがするじゃん。でもお前、無臭すぎて驚いてるんだ」
「あんた、ほんと気持ち悪いね」
冷たい目でそう言い放つ彼女。でも僕は納得できない。
「だからどうしてなんだよ?」
「……無香料のシャンプーと柔軟剤を使ってるだけ」
「無香料……?」
まさかそんな徹底して香りを排除しているやつがいるなんて、僕の中の常識がひっくり返った。
「匂いが苦手なの。だからこっち見ないで」
そう言って彼女はそっぽを向いた。
衝撃的だ。人間である限り、香りはつきものだと思っていた僕にとって、彼女の存在は革命的すぎる。
香らないという個性――これがこんなにも強烈に心に残るなんて。
***
僕の鼻と心が忙しい日々の始まり
こうして僕は今日、3人の女の子に衝撃を受けた。
・甘く爽やかなシャンプーの香りを漂わせる幼馴染「楓」
・魅惑的な香水で大人の余裕を見せる先輩「美玲」
・まったく香らないという異色の個性を放つ無香料女子「しおり」
僕の鼻と心は、すでに大忙しだ。
でも、なんだろう――これから何か面白いことが起こりそうな気がしてならない。
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