「星座の愛し子」と言われている私との婚約を破棄されるなど正気ですの? わかりました。では鉄拳制裁で。
第1話 「星座の愛し子」と言われている私との婚約を破棄されるなど正気ですの? わかりました。では鉄拳制裁で。
「星座の愛し子」と言われている私との婚約を破棄されるなど正気ですの? わかりました。では鉄拳制裁で。
黒星★チーコ
第1話 「星座の愛し子」と言われている私との婚約を破棄されるなど正気ですの? わかりました。では鉄拳制裁で。
「エレナ! 俺との婚約を破棄してくれ!」
こう言ったのは公爵令息のジェイク。
彼が別の女性を連れて現れた事で既に夜会は騒然となっていたが、婚約者のエレナへ告げた言葉が逆に場を静寂に包んだ。
「正気ですの? この婚約は国王陛下と公爵様がお決めになった事。何より
エレナは露ほども動揺せず自信に満ちた微笑みを見せる。
「数多の星の中でも
彼女は『星座の
「だが俺は真実の愛をみつけたんだ!」
「ジェイク様」
ジェイクは傍らの令嬢を腕に抱いて言う。彼女も彼にヒシとすがり、うっとりと見つめあった。
エレナはふうと息を吐く。
「……わかりました。では鉄拳制裁で」
「え」
「たとえ私や陛下が許そうとも、天の星は許さないでしょう。ほら、その証拠に」
エレナの両手が青白く輝き魔力が
「ま、待て」
「星の怒りを味わいなさい!」
エレナが床を蹴り、バシュウ!と風を切る音が響く。瞬く間にジェイクの真正面にエレナが移動している。
バチッ!
エレナがジェイクの左頬を張ると衝撃で彼の体は宙に浮いた。
バシュウ!
再度床を蹴ったエレナは倒れる前のジェイクに追いつく。
ガッ!
彼女のつま先がジェイクの体にめり込む。そのまま跳ね上げ、再度彼は宙に投げ出された。
ドドド!
更に追撃の拳が三発入る。ジェイクの体は“く”の字どころか最早“そ”の字の形だ。
「
エレナは身を翻し、その勢いで渾身の回し蹴りを放つ。が、割り込んだ別の男によって攻撃を止められた。
「!」
「その辺にしておけ。戦乙女と名高いエレナ王女と言えど一方的な制裁は感心しないぞ」
「貴方は」
彼女を止めたのは隣国の第二皇子であるディール。国賓として夜会に参加していたのだ。
「これは我が国の問題です。内政干渉ですわ」
「では俺がお前の夫になろう。この男との婚約は破棄するのだろう?」
「正気ですの!?」
「お前の様な面白い女が未来の女王ならば、その王配も面白かろう」
「……貴方も中々面白いですわね」
二人はニヤリと笑みを交わした。それを見ていた乙女座の星が震える様に瞬く。
星が言葉を話せるなら、きっとこう言ったであろう。
「怖いよぉ。私この娘に加護なんて与えてないのに……」
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