第4話 嫉妬

 『暗くなってきたなー 疲れたし、よし今日は帰ろうか』


眼鏡を外した湊。

迂闊にも肩をあげてしまった。


 『うん!そうだね!帰りますか!』


まだ寒くはない季節。風が心地よく感じる。


 湊が私を見てる。なんだろう。


 『寒くない?』


ああ、今日はいい日だな。


なんだろ。

ずっと受験勉強をしてきた感じで恋愛なんてしたことがなかったからかな。

現実を知らなすぎて妄想の世界で楽しんでたから

いざ、こうゆう状況になると極端に反応してしまう。

 この眼鏡。なんで私に?

部屋でひたすら眼鏡を触っていた。

何か仕掛けがあるのではないかって。


ま、仕掛けがあった所で状況は変わらないんだけどね。


なんか罪悪感なんだよね。これかけるの。

悪い事してないのにさ。


 『おはよー!』

時寧と駅で会った。

一緒に大学まで歩いていた。


コンビニになんと!!


湊がいた。

あっ!!


 『湊、女子といるよ!誰だろ!めちゃ可愛い子じゃーん!後で聞いちゃうしかないね』


時寧がニヤニヤ楽しそうに私に話してくる。

  

私は楽しくない。何故か。

けどさ、笑うしかないんだ。

あはは。

昨日湊と一緒にいたのにな。


 『湊!彼女かな⁈』

頑張って振り絞って言った言葉。


仲が良い6人グループだって恋事情はそうは語らないんだ。

分かってる。わたしもそうだから。

凄い辛い気持ちで今日を過ごすんだろうなって思いながら歩いていた。


時寧、湊に聞かないで欲しい。

そう言いたいのに言えない。

仲良いよね私達。

けど言えないんだよね。それが辛い。


いつも通りに振る舞うしかないんだよね。


 昼の時間。

もう弁当ではなく普通に学食メニューを頼めるまで成長した6人。


 『唐揚げ!』

 『キツネうどん!』

 『私も唐揚げ!』

 『日替わり!』

 私も!と次々に言える。


いつもの席に集まっていたのだが、湊が1人連れてきた。


 『この子もいいかなー?』


流石。昴。コミュ力抜群!

『え!全然いいよ!一緒に!何科⁈ 』


『初めまして!ナギサです!一年です!湊先輩とは同じ高校で先日バッタリ会って色々話してたら同じ大学って知って!朝駅でまた会ったんです!私まだ馴染めなくて、、、』


『宜しくね』


ニコってしたけど、内心はニコってしていない汚い私がいた。


ああ、今日はモヤモヤする日だな。

とりあえず日替わり食べよう。

お腹空いたしね。

食べるしかないよね。

わたしさ、嫉妬してるのかね。

それにイライラする。

 梓が私をチラチラみてくる。

気づかれたのかなわたしの気持ち。

時寧と桃もぎこちない。


仲いいんだけど、何故か踏み込んだらいけない領域なのかな。

目で分かるお互いに。

 ありがとう。

いつか確信したら話すから。


けどさ、眼鏡の話はできないんだしたくない。

きっとよくない物だもん。 


もうかけない。

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