提言シリーズ

解体業

提言1-ふんわりバージョン

突然ですが、異世界転生系小説の「転生前の現実世界」の異常さについて、ちょっとだけ深掘りしてみましょう。この世界では、どうやら毎年、トラックに轢かれて転生する人が異常に多いようです。皆さんも、あれ?って思いませんでしたか?もしかして、「転生前の現実世界」って私たちが生きる現実世界と違うんじゃないの?とか思いつつ、ちょっと真面目に(ほんのちょっとだけ)考えてみます。


まず、1年に何作の小説が書かれているのか。まあ、主要なプラットフォームだけで年間約10万作が公開されているってことを参考に、ちょっとした数字の遊び心で16万作って感じですね。だって、プラットフォームと言ったって他にもいろいろありますから。とにかく、16万作という数字が見えてきました。


次に、そんな小説の中で、どれくらいの割合が「異世界転生系」なのかという話。どうやら、検索してみると、「転生」というキーワードでヒットするものは全体の8%、「異世界」だと15%だとか。うーん、でも最近の流行を考慮して、異世界転生系は10%くらいかなという結論に至ります。まあ、異世界系は多いですが、そんな割合で納得してください。


さて、お次は「どんな死に方をして転生するか」です。挙げてみると、だいたい、こんな感じです。


・トラックに轢かれて転生(鉄板)

・人助けによる死(猫助けの時はトラックに轢かれてしまうので……)

・電車への飛び込み

・過労死(残業でボロボロになり転生)

・召喚される(異世界から召喚されてしまう、巻き添えもある)

・老衰死(天寿を全うor後悔を胸に秘めて……)

・病死(重病でお別れ……)

・通り魔に刺される(あれ?普通に怖い)


その中でも、やっぱり一番よくあるのは「トラックに轢かれる」パターン。これって、異世界転生の鉄板みたいな感じですよね。だって、転生トラックなんて言葉があるくらいですから。皆さん、トラックde転生に飽き飽きしてるんじゃないですかね?内容の方が重要ではありますがね。


ということで、ざっくり計算すると、1年間に転生系小説の中では約3200人がトラックに轢かれて異世界へ飛び込むことになるわけです。


これを現実世界と比べてみるとどうでしょう? トラックに轢かれて亡くなってしまう人、現実世界では1年に大体75人くらいなんですよね。いや、75人と3200人じゃ、大きな違いがあるでしょ? だって、現実世界ではトラックの事故で命を落とす人が75人で済んでいるのに、異世界転生の世界では3200人が毎年、運命の車輪に轢かれているんですよ。これ、さすがに「現実的じゃない」って感じがしますよね。


つまり、この異世界転生系小説の「転生前の現実世界」って、ちょっとどころか相当変なんです。 だって、実際にトラックに轢かれる人が40倍も多いなんて、ちょっとした奇跡のようなものですから。なら、現実世界の公的機関はどう考えているのでしょうか? もし、現実世界でこんなことが起こっていたら、交通安全対策が大変なことになっているはずです。異世界転生業界は、もっと真剣に「トラック事故対策」を考えるべきじゃないでしょうか? きっと、転生者も「またトラックか!」ってなりそうですし、転生した世界でも「ここ、やっぱりあのトラックの世界じゃないか」なんて思い始めるかもしれない。


まとめると、異世界転生系小説の「転生前の現実世界」は、トラック事故の発生件数が異様に多いので「異世界転生前の現実世界」の公的機関は何か対策を取るべきだ、ということです。「転生事故対策」、早急にお願いします!

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