-War 7- メーデーメーデー!こちら借金部隊! Ⅱ

【Phase2:借金脱出計画】


TE拠点/地下独房


「はぁー…そんでお前ら全員ぶち込まれてるのな」


「酷いっすよね〜」


「いや,妥当だと思うけど?」


大問題を起こした連中は全員ルイスの逆鱗に触れてこうして独房にぶち込まれている


普段は敵兵をぶち込んでおくものだが時折懲罰房としてもここは使用されているって訳だ


「いや〜出掛けててよかったわ」


「あぁてめぇがいなかったせいで私もこのザマだ」


「ルイスに蹴り入れたらそうなるだろ」


「そもそもこいつらが生きてるのが悪ぃ」


「生半可な事じゃ死にそうにもないからなこいつら,医者なら余命くらい分からないのか?」


「来年だな」


「医者として?」


「いや,私が決めた」


もう可能な事ならこいつらぶっ殺してやりてぇ


「しかしまさかお前まで借金部隊の仲間入りするとは思わなかったなー」


借金部隊というのは問題を起こして給料天引きが発生した奴等のあだ名だ


こいつらに限らず問題を起こす隊員もいる


というより全員が問題を起こす


それでも尚物資や車輌等に直接的な被害が出ない場合は当然給料の天引きは発生しない


その為隊員間ではこの借金部隊というのはある意味差別の様な使い方をされている


当の本人達はそんな事気にしちゃいねぇが


「まー暫くしたら出して貰えるだろ,そんじゃなー」


咲夜は独房から去り再び残されたのは問題を起こしたとぶち込まれた5人


そしてもう1人


「…………」


先日捕らえた敵兵も独房の中に入れられていた


それぞれ別々の隔離房なのがまだ救いだろう


じゃなかったら今頃ここには死体が転がってただろうな


「やー…腹減ったっすねぇ」


「ここちゃんと掃除してる?汚いんだけど」


「ぐがー………」


「うるせぇ……」


こいつらと同じ独房じゃなくて心底よかった


今の私にこの殺意の衝動を抑える自信がない


「どうするかなぁ…」


「何がっすかー?」


「私はお前らと違って借金部隊に入るつもりはねぇ,さっさとこの借金をどうにかしねぇとならねぇんだよ」


私はこのまま借金部隊の仲間入りをするつもりはねぇ


借金を無くすにはどうするか


損失分を何かで賄えばいい


かといって任務で挽回はほぼ不可能だ


額にもよるが大抵は何ヶ月か給料無しで過ごす事になる


とはいえ最も手っ取り早いのは拠点への損害を出さずに真面目に任務をこなす事,これに限る


だが任務中にも出来る事はある


敵が使用している銃器,車輌等を鹵獲する事だ


私らTE部隊がそのまま流用する事もあれば引き取って貰ってその分の資金を得る事も出来る


それを返済に当てれば当然借金は減る


単純な事だ


とはいえ今はこの独房の中だ


何も出来ねぇ


「私なんか借金まみれで5年間も給料ないっすよー?」


「私は副業で賄えるくらいにしか問題起こしてないわね」


「それやめろって言ってんだよ,私にまで影響きてんだ」


「……僕どうしよう……やりたいゲームあるのに…」


「同じもんどっかから入手してくりゃいいだろ,つってもそんな簡単に手に入らねぇけどな」


「あの…いいですか?」


ここで口を開いたのは……誰だっけ,名前は忘れたが敵だ


別の独房にぶち込まれてる奴


しかも捕まえてきたのは私だしな


「えーと……何か訳ありの様なので…ちょっと耳寄りな情報というか…」


「殺されてぇのか?てめぇ自分の立場分かってんのか?」


「まぁまぁ…話くらいなら聞くのもありっすよ?」


まぁ他にする事もねぇし聞くだけ聞くのもありか


「言ってみろ」


「えーっと…ブレイク部隊って知ってます…?」


「あぁ,連中か」


ブレイク部隊


私達TE部隊と同じ傭兵企業の一つだ


このクソッタレな時代に傭兵企業は腐るほどある


だがその全てが必ずしも真っ当な傭兵とは限らない


その力を悪用する奴等も存在する


ブレイク部隊もその内の一つだ


連中のやり口は単純で兵器を用いた殲滅を好む


その為甚大な被害をもたらす部隊として知られている


過激な傭兵組織は数多いが保有する兵器の数はその中でも群を抜いている


「それで…先日ブレイク部隊が世界政府の施設に被害を与えたらしくて…」


「…で?」


「…自分達は確かに世界政府と敵対してる組織ですけど…ブレイク部隊も自分達同様に世界政府を敵視してます…つまりですよ?ブレイク部隊を潰して兵器もパクっちゃえば一石二鳥……なーんて…」


「…………」


なるほど,その情報が確かなら世界政府から見ればブレイク部隊は邪魔な存在な訳だ


尚且つ自己的な傭兵組織を一つ潰せる


連中の兵器も鹵獲出来れば報酬上乗せも可能だ


「だそうだ,てめぇらどうする?」


「やるしかないっすねぇ!」


「憂さ晴らしにはちょうどいいかしら?」


「僕も…借金暮らしは嫌です…!」


さて,やる事は決まった


あとはここからどうやって出るかだ…


「わー本当に捕まってる」


「なんだ美香,見せもんじゃねぇぞ」


「えー?だって話題になってますよ?猛獣が捕獲されてるみたいだってー」


「殺すぞ」


「まぁまぁ私の目的はこっちじゃないですし〜?カレンいる〜?」


「いるっすよ〜?」


人を動物園のライオンかなんかだと思ってんのか?


どこまで私の神経を逆撫ですれば気が済むんだこいつらは…


しかしブレイク部隊を潰すのは決まった


問題はこの独房から抜け出して尚且つルイスに気付かれる前にどうやって拠点から出て行くかだ…


「あはっ♡あんっ♡」


「いいっすねぇ♡たまにはこういう場所でするのも♡」


「てめぇら何やってんだぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


マジでこいつら何やってんだ?


急に来たと思ったら独房でレズセックスとか正気か?


しかもここにはアルがいるってのに…


……あ?独房の中に入って?


「おい美香,鍵どうした?」


「んー?パクってきちゃった」


鍵の管理はどうなってんだ


独房の鍵を管理してるのは私とルイスだけだぞ


ん……?


「…お前その鍵どっから盗んできた?」


「社長のオフィスだけど?」


「ルイスはどうした?」


「外出中みたい」


これはチャンスだ


独房の鍵はここにあり尚且つルイスも外出中


出て行くには絶好の機会だ


「おい美香,やる事やったら鍵置いて出ていけ,腹減ってんだ,飯食ったらまた戻る」


「んーそれなら別にいっかー」


やる事やったら独房からそそくさと立ち去って行く美香


本当にヤりにきただけかあいつ…


ルイスは不在,鍵は手にある


残りの問題は他の連中に気付かれないようにするくらいか…


…いや?別に気付かれたとしても問題はねぇか


「…………」


「…………」


「…………」


「おい…てめぇ何でここにいる?」


「見学」


次から次へとやって来やがる


しかも今度はなんだ?


ポテトチップス食いながら独房にぶち込まれた私らの見学だと?


このガキ…


「動物園みたい」


「アレン…悪い事は言わねぇ,ここから失せろ」


「やだ」


トコトコと歩きながら独房に一枚ずつ紙を貼っていく


なんだ?何が書かれてる?


「ぷっ…V……猛獣だってさ…!」


「あ"?」


どうやら紙には猛獣と書かれているらしい


そういやこいつ文字の練習とかで色々なもの書いてたな…


「カレンは…可燃物?燃えるゴミかな?」


「そういうソフィーは白髪ネギっすよ?」


「ルーシーは……あぁ納得,ゴリラだし」


「で…アルは……マッシュルーム?」


「あー…白髪だもんな」


「白髪ネギ,お似合い」


「…アレンくん?また遊びたい?」


「お前ここから出れない,ざまぁみろ」


あーあ,ソフィーが静かにキレてら


私には関係ないがな


とりあえずさっさとここから出て目的の場所へと向かうか


「…アレンくん,これ以上はおすすめしないわよ?」


「お前囚人,無様」


「………最後の警告よ?」


「ベーっ!」


「ったく相変わらず仲良いな,ほら鍵」


「…ありがとうV」


鍵を渡して独房から出てくるソフィー


表情は変わらないがキレてる


「……ごめんなさい」


「…………」


一瞬こいつ本当に人間か?って思った


そりゃそうだ


予備動作無しのラリアットがアレンに炸裂したからな


気絶したアレンを独房の中に入れながら他の連中も独房から出てくる


「で…どうするっすか?」


「とりあえず上に行くか,空気が悪ぃ,ここは」


TE拠点/モニタールーム


「あ,お疲れ様ですー,釈放ですか?」


「どちらかというと脱獄だな,私らの事は黙っておけよ,凛」


「会話聞いてましたから」


「…独房にまでカメラ仕込んでんのかてめぇ…」


相変わらず盗撮が趣味な様だなこいつは


「えーっと…一応輸送機の方は空いてるんですけど…どうやって持ち帰るんですか?」


「あー……」


そういえば持ち帰るにしても手段がねぇな


運転はルーシーに任せりゃいいが私や他の奴はそこまで経験がある訳でもない


そもそも免許もねぇしな


ブレイク部隊の連中を片付けたとしても兵器を持ち帰るにはどのみち運転手は必要だ


かといって他の連中はそもそも借金がねぇから着いても来ないしわざわざ説明も出来ねぇ


慣れない奴が運転して事故なんか起こした日には更に借金が増える結果になる


「お邪魔〜」


「邪魔するなら帰ってください白狐さん」


「この前はごめんて〜」


「…………」


あぁいたわ


ちょうどいい奴が


「よぉ白狐,手を貸してくれねぇか?」


「何本?」


「切り落として生えたやつも含めるか?」


「おーおー相変わらず物騒だね」


白狐は妖だ


正規隊員ではないが時折拠点に現れては遊んで帰っていく,まぁ協力者な訳だ


そんでもってこいつは空が好きなのかよく戦闘機に乗っている事が多い


「なーるほどね,つまりパイロットが欲しいんだ」


「一機でも多く持ち帰りてぇからな」


「でもそれだったら亜空間にしまって持ち帰った方がよくない?こんな風に」


「きゃぁぁぁぁぁぁあ!!!!!なんでタコがいるの!?」


「ん?タコ嫌い?」


「ぬめぬめしたのだいっっっっっっきらいです!!」


うるせぇ…


とは言え,確かに乗って帰ってくるよりかは亜空間を使用できるのならその方が更に多くの兵器を持ってこれるな


「んで?報酬は?」


「人間」


「やった〜♪」


人間与えておけばこいつは言うことを聞く


人間というより人肉


「でも片付けはそっちでやってね?あんまり暴れてるの見られたくないからさー」


「あぁそこら辺は私らに任せろ,多少は働かねぇとな」


というのは建前で白狐を消しかけて奴らを壊滅させるのは容易い


だが世界政府と相性の悪い白狐がその存在を晒すような事をするのは賢い行いとは呼べない


更にいえば私らが壊滅させれば世界政府の連中に恩を売れる


いずれ役にたつだろう


「さて…てめぇら準備はいいか?」


「いいっすよ!」


「準備出来てます!」


「こっちもばっちりよ」


「輸送機もばっちしよ」


「んじゃ行くか」


さて,さっさと連中をぶっ潰してくそみてぇな理由で付けられた借金を消すとしよう


軽い気持ちで向かった訳だがこの後あんな事になるなんてこの時私達は予想もしてなかった


「………あれ?何かモニターに変な影が…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る