-War 6- 動き出す闇 Ⅱ
【Phase2:第4の勢力】
潜入部隊/テロ組織バグ:拠点内
とても静かだ
嫌な静けさは不安な気持ちを煽る
嫌な感じね...
「…クリア,拠点にしては随分と手薄ね」
「そうね…敵の規模は大きいんじゃなかったかしら?」
「考えられるのは…私達以外に戦力を割いているのか…くらいね」
潜入する際にも見張りの敵兵の姿はあったけれど随分とすんなり入れた
ここまで順調だと寧ろ罠なんじゃないかと思ってしまうくらい
「シルヴィア,これ,なに?」
「非常用ベルね…絶対押しちゃだめよ」
「この子敵陣の真ん中に置いてきた方が使えるんじゃない?」
「可哀想でしょ」
本来アレンは正規の隊員ではない為任務に来る事はない
けれど咲夜に何か思惑があるのか今回は私達に同伴させている
覚えはよく,銃の扱いも見ただけで覚えたというのだから才能はあるとは想うけれどそれ以上にソフィーに対しては何かと噛みついている
一体この2人の間に何があったのか…
「待って…この先監視カメラがある…」
「ここも…か,無力化しようにも見取り図がある訳じゃないし…どうするの?」
「……裏口を使いましょう」
「裏口なんてあるの?」
「ん…」
ソフィーが指差したのは天井……の点検口
なるほど,屋根裏なら監視カメラは存在しない
「問題は…どうやって登るの?」
「アレン,そこに四つん這いになって」
「べーっ!」
流石にアレンの上に乗っても高さは足りないでしょ…
「私が上に行くわ,けど全員で行くの?」
「二手に別れた方がいい,目標の場所が見当たらない以上時間をかけたくない,それにどのみち誰かからカードキーは拝借しなくちゃいけないし」
「それならソフィーの方が適任ね,アレンくんは?」
「私にいい考えがある,シルヴィアはこのまま屋根裏を通って部屋を探してちょうだい」
「この白髪ネギ,やだ」
「あとで遊んであげるから我慢して」
「…それじゃまたあとでね」
屋根裏のスペースは思っていたよりも広い
這って移動する事もなさそうね
バイオ兵器のテロ組織
技術力は極めて高いと見てよさそうね
建物の構造からもそれが分かる
屋根裏なら敵と鉢合わせる心配はないけれど問題はどうやって目的の部屋を探すか…ね
「……………」
『殺してはいけない人がいる』
シュガーのあの言葉が頭の中をぐるぐると回っている
テロ組織に属する人で殺してはいけない人なんて存在するのかしら
(ここは…)
暫く天井裏を通りどこかの部屋の上へと出る
辺りに人はいない
私は室内へと降りて様子を伺う
「培養カプセル…これがバグね…」
バイオ兵器
それも虫の形をしているのだから気色が悪い
「研究データは…この端末にはないわね…」
あくまでこの部屋はバグの制御をしているだけの様ね
「カメラの操作は…無理ね,ハズレだわ…」
この部屋には目ぼしいものはない
再び屋根裏を通り先へと歩みを進める
「…………」
通路から声が聞こえる
組織の人間かしら?
「…次は?」
「連中は口ほどにもない,所詮はハイエナだよ」
「けど客だったんだろ?」
「矛先がこっちに向いたら潰すしかない,それに上客はまだまだいるさ」
ハイエナ
VSTCの事に間違いなさそうね
「んで確か今は取引先が…」
「あぁ,さっさと向かうぞ」
2人はそのまま廊下を歩いていく
大した情報は得られなかったけどVSTCもこの件に関与しているみたいね
『聞こえるか?応答してくれ』
「咲夜…?無線通じたのね…」
『先ほどVSTC隊員の姿を確認した,随分とボロボロだったけどそっちに向かってる,恐らく拠点内での戦闘が予想される,無線閉鎖が解かれてるのはその為だ』
「…なるほどね,早いところデータを見つけないと…」
『もう1つ知らせる事がある,こちらから雷鳴重工の輸送車を目視した』
「雷鳴重工…って世界政府の…」
『世界政府と繋がりのある兵器開発の企業だ,表向きは世界政府傘下の企業,こちらから被害を出す訳にはいかない』
「……つまり雷鳴重工の人には危害を加えてはいけないって事ね…VSTCが戦闘を始めたらどうするの?」
『…恐らくどさくさに紛れて逃げていくだろうけど…今回の作戦は世界政府からの依頼,内容には含まれてはいないけど世界政府の事だろうしVSTCから守れって事だと思う』
「…テロ組織を潰す為に私達とVSTCに依頼を頼んで更に雷鳴重工の人達の護衛までしろって事なの?厳しいわね…」
『人使いが荒いとしか言えないね,ところでソフィーとアレンは?』
「今は別行動中,連絡は?」
『こっちから無線が届かない,地下室でもあるのか?』
「分からない…こっちから伝えておくわね,オーバー」
状況はかなり悪いわね…
後方からはVSTCの隊員が拠点へと迫り,この拠点内には雷鳴重工の人がいる
戦闘が始まれば危険に晒される事になる
テロ組織,VSTCの両方を相手にしながら雷鳴重工の人を守る
しかも研究データまで見つけないといけない
時間が足りるのかしら…
(ここは…研究エリア…?)
「B-30の様子は?」
「活動時間に問題がある,まだ調整不足だ」
「よぉお前ら,入ってもいいか?」
「…雷鳴重工の方でしたか,どうしてここに?」
「俺ぁ話は向いてねぇからな,お前らの実験生物を見させてもらうぜ」
「なるほど…ではこちらに…」
(今のが雷鳴重工の人…)
スキンヘッドで大柄な男性
それに...こんな時期にタンクトップ?
「ん?」
「……!」
まずい,今明らかにこちら側を見られた
気づかれたかしら…?
「セルゲイ様,どうしましたか?」
「…いや…鼠が…いやゴキブリでもいんじゃねぇか?ここは」
「G型はいますよ,もしよろしければそちらもお見せしますが」
「あぁ,ぜひ頼むぜ」
…どうやら気づかれてはいないみたいね
けれどここならデータは取れるかしら
「…………だめか…」
『こちらソフィー,シルヴィア聞こえる?』
「えぇ聞こえているわよ」
『今からちょっとした騒ぎが起こる,その間に情報を見つけ出して貰いたいの』
「…VSTCがこっちまで来た?」
「あいつらも来てるのね…こっちで陽動起こすから連中は関係ないわ」
「…可能な限り見つける努力はするわ」
『任せたわよ,オーバー』
思ったよりも時間は無い
急いで研究データのある部屋を見つけないとならない
潜入部隊/ソフィー&アレン
「さてアレンくん,約束通り遊んであげるわね」
「何?」
「あそこに人がいるでしょ?あの人にこれを渡してきてほしいの」
「これ,さっきソフィーが殺して奪ったやつ」
「偶然2枚手に入ったからね,私達が使うのは1枚でいいの,だからもう1枚は返して貰いたいのよ」
「お前がやれ」
「落とし物を届けてあげたらお礼にお菓子貰えるかもしれないわよ?」
「分かった」
一方こちらは別行動中のソフィーとアレン
ソフィーは敵兵からカードキーを入手する事に成功した
"偶然"にも2枚を入手したが使用するのは1枚で十分
不要な物はそっと返してあげようとアレンを使う事にしたらしい
「おいおっさん」
「あ…?誰だこいつ」
「これ,落ちてた」
「…カードキーじゃねぇか,ありがとな」
「お前馬鹿か?どう見てもこいつ侵入者だろ!?」
「殺すか」
銃口がアレンへと向けられる
当然だ
「あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!騙したなあいつ!!!!!」
「こちらBブロック!侵入者発見!!」
「待ておらぁ!!!」
「…さて,陽動はこれで大丈夫ね」
潜入部隊/シルヴィア
けたたましいサイレンが鳴り響く
ソフィーが言っていた陽動はこれの事ね
敵兵がぞろぞろと廊下を走っていく
今なら警備が手薄,だいぶ動きやすくなった
「…………!!!」
嫌な気配
まるで後ろから銃口を向けられている様な感覚が私を襲った
(敵…?屋根裏にまで追っ手が……?)
先程の感覚は間違いじゃ無い
確実に誰かが近くにいる
私はナイフを構えて戦闘体制をとる
こんな狭い空間でも私のナイフの戦闘技術なら遅れは取らない
「おやおやぁ…怖いですねぇ?」
「……誰?」
「ふふふ,私はただのエージェントですよぉ?」
姿を見せたのは私と同様ナイフを構える1人の女性
敵兵…ではないみたいね
「…………」
「そんな怖い顔しないでくださいねぇ?私は仕事さえ出来ればそれでいいですからぁ」
「…そうね,私も目的さえ達成出来ればここに用はない」
「賢明な判断ですねぇ,ところでこの地図の場所まで行きたいんですけどぉ」
目の前の女性が手に持っているのは何かの見取り図
恐らくはこの建物のものだろう
「…見せてちょうだ!?」
「油断大敵,今死んでましたよ?」
首元へと突きつけられるナイフ
この女まさか私を殺すつもりで…
「冗談ですよぉ,私は少なくとも敵対するつもりはないですからぁ…けど……いつか死んじゃいますよぉ?」
「…アドバイスありがとう,で…現在地が分からないと目的の場所も分からない…そもそも目的は?」
「私は研究データですねぇ,貴女も違いますぅ?」
どうやら目的は同じみたいね
敵の敵は味方ということね
地図の座標を頼りに目的の場所へと辿り着く
研究データは…これね
「短い間でしたけどありがとうございましたぁ,またどこかでお会いしましょうねぇ」
「…貴女は屋根裏に戻らないの?」
「お迎えが来ますからねぇ」
「……そう,それじゃまたね」
目的のデータは入手出来た
あとは1度ソフィーに連絡を…
「こちらシルヴィア,データは確保したわ」
『了解,咲夜へ伝えておくわ,すぐにこちらに応援に来てくれると思う,私の銃声が聞こえたら戦闘開始の合図よ』
「了解,タイミングを見計らって奇襲をかけるわ,オーバー」
恐らく混乱に乗じてVSTC隊員もこちらへ攻撃を仕掛けてくるはず
私がするべき事は雷鳴重工の人の護衛と敵への奇襲
それにしてもさっきの女性は誰だったのかしら…
「よぉ,迎えに来たぜ」
「遅いですよぉセルゲイさん,また誰か殴ってたんですかぁ?」
「それが命令だからな,データは手に入れたな?」
「えぇご覧の通りしっかりと入手しましたよぉ,あまり待たせると怒られちゃいますから行きますかぁ?」
「あ…やべぇあいつらの制御系統止めてくるの忘れてたな…」
「何やってるんですかぁ,どうするんですかぁ?」
「まぁいいだろ,こことはすぐにおさらばだ,行くぞ零音」
「分かりましたよぉ」
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