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「そろそろ友達出来た?」



失礼にもほどがある。


そんな不躾な質問を投げつけてきたのは、気だるげに棒のついた飴をなめている先輩だ。



そうそう、彼の名は詩編シアン


金に近いサラサラの髪に、着崩した制服。

光によって変化するブルーに近い瞳。


私の中の非日常を構成する人物だ。




「失礼ですね。友達いないってわかってて聞いてきた質問でしょう?」



そう返すと、先輩はキャンディーを転がしながらクスクス笑った。




ここは屋上。


制服が汚れるのも厭わず、地面に座って私たちは向かい合う。


校庭からは野球のボールをバットで打つ音、サッカーボールを蹴る音が、校舎からは友達同士で話す声や先生の怒鳴り声が絶えず聞こえてくる。


そんな喧騒から少し隔離された空間であるこの屋上で、私と先輩は昼休みになると、度々お弁当や購買で買ったパンやおにぎり、おまけにお菓子までを広げていた。




「友達ほしくないの?」


ほしいと言って簡単に友達ができたら苦労しない。


いや、そもそもほしいのかもわからない。


友達を作って、この平和な日常が崩れるくらいなら・・・



「さあ。」



私が言葉を濁すと、先輩は「そっけないなぁ〜。」と肩をすくめた。


それから、ハッと別の話題を思いついたようで、私に問いかける。



「友達じゃなくてもさ、好きな人とかいないの?」


先輩の急な恋愛話に、私は危うく飲んでいたパックのいちごオレを吹き出しそうになった。



「唐突ですね。」


私が鼻で笑うと、先輩は「そう?」と小首を傾げる。


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