第34話 来訪! みふだの弟子!?
合格後の僕は変なテンションになっていた。
みふだちゃんの家に泊まるということで、みふだちゃんや千伊香ちゃんと同じパジャマを着たり、同じ部屋で寝たりしてしまった。
うかつだった。
その後ずっと、デレただの、惚れただの、おそろいだの、折れただの、散々いじられ続け、冷静になった僕は後悔が増している。
正真正銘の探索者になれたってことを考えても、トントンかどうか怪しいところだ。
そんな、受け入れがたい現実を少しずつ受け入れられるようになってきたある日のこと。
「って感じでウィッチが回復してくれたんだ」
「本当!? モンスターカードの状態でモンスターのスキルを使えるのはすごいことだよ?」
「そうなの?」
なんて、みふだちゃんたちと試験の振り返りをしていたら、みふだちゃんのプライベートダンジョンに知らない女性がやってきた。
「お久しぶりです師匠」
暗めの茶髪をポニーテールでまとめた、見目麗しく凛々しい感じの女性。
背筋がピンと伸び、実際の身長よりも背が高そうに見えるその人は、真っ直ぐ、みふだちゃんだけを見て言った。
「久しぶり。だけどわたしは師匠じゃないよ。それはともかく
「ありがとうございます。しかし、高見沢さんがどう思っていようと、私は師匠だと思っていますがね」
彩光ちゃんと呼ばれているところを見ると、どうやらみふだちゃんと旧知の仲らしい。
ランカーってことは、ダンカで世界100位以内の実力者ということだろうか。
みふだちゃんって、すごい人の師匠もやってるんだなぁ。
と、彩光さんの隣にいる女性に目を向けると、僕も知っている子と一緒だった。
「あれ、嶺さん?」
「久しぶりですね、歴さん」
顔は知っているはずなのに、なんだか様子が違った。
髪型だろうか、服装だろうか。以前見た時の、お嬢様のような雰囲気から変わり、甘えん坊のような、子どもっぽいとでもいう感じに見える。いたずらっぽい感じやしっかり者っぽい感じには見えない。
それと、彩光さんにベッタリとくっついている。
ふむ。これは何が起きているのだろう。
「知り合い?」
「うん。探索者試験の時に会った、米村嶺さんだよ」
「初めまして、米村嶺と言います」
「どうも、初めまして。高見沢みふだです」
「えっと、あっちは、
「知っています。梨野歴。それと、夢野千伊香、でしょう?」
みふだちゃんが僕らの説明をしようとしたところ、彩光さんが咳払いをしてから言った。
「とにかく本題に入りましょうか」
「本題? 急に来て何の用かな?」
「米村から聞きました。そこの女と一緒に遊んでいるから、ダンカの表舞台に立っていない。違いますか?」
「表舞台……?」
みふだちゃんの顔を見ると、笑ってはいるものの、いつもの飄々とした雰囲気は鳴りをひそめ、少しだけ痛いところをつかれたような、そんな顔をしている。
先ほど話していたランカーのような人に師匠と呼ばれるくらいだし、何かイベントとかに呼ばれているのか?
「わたし以外にも適任な人はいるから」
「そう言うってことは、やっぱり、素人2人に教えているんですね。いったい何をしているのですか?」
「ようやくできた友だちと、一緒にダンカをしたり、探索をしたりしてるんだよ」
「友だち……? そんな、あってないような軽いもの、高見沢さんには不要でしょう? 腑抜けてしまわれたのですか?」
「腑抜けたつもりはないよ」
知り合いだかなんだかわからないが、かなり失礼な女性だな。
僕でも思わず一歩前に踏み出していた。
すぐさま、みふだちゃんに止められた。
「待って。彩光ちゃんは悪い子じゃないんだよ」
「でも」
「はあ……」
彩光さんは僕らのやり取りを見て、これ見よがしにため息をついた。
「かばうんですね。その女が、私に勝てない雑魚だから」
「歴ちゃんは雑魚じゃないよ」
「雑魚でしょう。ようやく資格を取得したような、実力不足の雑魚。なんでも、仮免取得前に2回も不合格になっているそうじゃないですか」
彩光さんはキッと僕をにらんできた。
事実なので反論できない。
僕が黙っていると、彩光さんは千伊香ちゃんへと視線を向けた。
「そして、もう1人は初心者狩りしかできない嗜虐者」
千伊香ちゃんはギクっと背中を震わせた。
「……い、今はやってないから……」
「程度が知れる。そんな2人に何を教えられると言うのです? 教えたところで、何になると言うのです? レベルの低いことをして満足しているのが現状ですか?」
まるで嘲笑うような顔に胃の辺りが熱くなる。
なんだろう。いつもなら体がすくむのだろうが、どうにもこれは怒りでどうにかなりそうだ。
「歴ちゃんも千伊香ちゃんもそんなふうに言われる子じゃないよ」
「そ、そうです! あたしの事は受け入れられても、お姉様は素晴らしい方です。訂正して謝ってください」
「はっ」
2人の言葉を彩光さんは鼻で笑った。
「訂正など不要。みふださんは、お前ら2人なんて足元にも及ばないほどの天上人だ。どう思い上がったらそこに立てる? 並ぶ価値もないだろうに」
「彩光ちゃん! 言っていいことと悪いことがあるよ」
「高見沢さん。目を覚させてあげますよ。誰が高見沢さんの隣に立つにふさわしいか。今一度ね」
怒声をぶつけられても、まるで変わる様子の見せない彩光さんに、みふだちゃんは困ったような顔をした。
そんなみふだちゃんを見て、僕は肩に手を乗せた。
「歴ちゃん。本当にいつもの彩光ちゃんはこんな子じゃなくて」
「だとしても、このまま言われて黙っている訳にはいかないよ。僕のせいでみふだちゃんを低く見られるのは嫌なんだ」
「歴ちゃん……」
「やるよ。それでいいんですよね」
薄く笑みを浮かべながら、彩光さんはうなずいた。
「ええ。実力の低い手合いには実際に体感させるのが一番早い」
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