第16話 深夜の出来事

 2036年 1月13日 深夜


 ベッドの軋むきし音がする。

聖の眼下には、妻彩夏がいる。

彩夏は、喘ぎ声を上げ、聖の動きに自分の欲求を合わせる。

聖は、彩夏を抱きながら、〝何か変だ〟その思いが拭い去れずにいる。


 〝俺は誰を抱いているんだ?〟


 聖は、いつになっても自分がはてないもどかしさの中、不乱に身体を上下に動かす。


 〝何かが違う〟


 永田が居なくなって一週間が経っていた。

携帯も繋がらない、ただ一身上の都合により、暫く休暇をとりますといった手紙が残されていただけだった。

 

 〝俺が抱いている女性は誰だ?〟


 聖は、下半身の感覚に集中し、この終わりのない

行為を早く終わらせたかった。


 〝聖!〟

 

 彩夏が叫ぶ声に聞き覚えがある。


 聖は、咄嗟に「美里!」と叫び、達した。


 〝美里?誰だ?〟


 聖は、満足して虚ろな彩夏をベッドに置き、シャワーを浴びにバスルームへ向かった。


 聖は熱いシャワーを浴びながら、目を閉じて、

〝美里〟と言う名前に集中する。


 聖の脳裏に〝美里〟の顔が浮かぶ。

 誰だ?この女性は?


 〝俺はこの女性を知っている!〟


 聖は、シャワーを止め、身体を拭き、服を着て家を出た。


 聖を夜道を時たま走る車のヘッドライトが照らす。

 聖はやがて、一軒のBARの前に立った。

何故そのBARなのか理由はわからないが、呼ばれている気がした。

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